出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B004CFBR06/?tag=cinema-notes-22
本作は一青窈の名曲「ハナミズキ」をモチーフに制作された2010年の恋愛映画です。
キャストは新垣結衣と生田斗真を中心に向井理やARATA、薬師丸ひろ子など若手の実力派で固められています。
また主演の新垣結衣はこの曲をカバーしたことでも有名で、それに見合う壮大な物語が展開されました。
興行収入も非常に高く、最終的に28億3000万円という破格のヒットを叩き出しています。
主軸は平沢紗枝と木内康平の2人を中心に展開される遠距離恋愛であり、故に感想・評価も様々です。
今回はラストで女の子を抱えていた男の正体をネタバレ含めてじっくり考察していきましょう。
また、康平と紗枝の結婚の真相はや模型を康平に返した紗枝の心情なども併せて見ていきます。
原曲の背景
まず本作を考察していく上で一青窈の作った原曲への理解は欠かせません。
一青窈がこの曲を書いた背景にあったのはかの9.11ことアメリカ同時多発テロ事件でした。
最初の段階では「テロ」「ミサイル」という物騒な言葉が入った生々しい歌詞であったのだとか。
紗枝が東京から一度はニューヨークへ渡ったこともそうした9.11に対するオマージュを捧げたのかも知れません。
そこから「好きな人が100年続きますように」と愛とも取れる平和への祈りが込められた歌になりました。
ハナミズキには「永続性」「私の想いを受けてください」「返礼」という意味が花言葉としてあると聞きます。
正にその意味を平沢紗枝と木内康平の遠距離恋愛という形で純愛物語に再構築したのが本作でしょう。
女の子を抱えていた男の正体
本作のラストカット女の子を抱えていた男の人のカットで締めくくられます。
果たしてこの少女を抱いた男の正体は何者かをネタバレ込みで考えていきましょう。
父親となった康平
物語の流れから解釈するなら父親となった康平が自然な流れでしょう。
誰との子なのかというと、いうまでもなく紗枝との間に出来た娘です。
なのでこの時点で既に康平と紗枝の関係性への答えは出てしまっています。
寧ろ大事なのはここに至るまでに康平が経験してきた現実の苦闘の数々でありましょう。
別れと自己破産
康平という人物はその見た目の格好良さに反して泥臭いキャラとして描かれ、別れと自己破産を経験しています。
紗枝を巡って東京で会った北見に嫉妬し喧嘩したことも、また紗枝に辛く当たったこともある程です。
そう、彼はここに来るまでに辛酸を数々舐めさせられてきたというプロセスがありました。
そしてその痛みこそが康平という人間をより深みと円熟味のあるキャラに仕立てたのでしょう。
親の跡を継ぐことが幸せとは限らない
本作を康平の視点で見た時に面白いのは親の跡を継ぐことが最高の幸せではないということです。
寧ろ親の跡を継いだばかりに紗枝と別れる羽目になり、借金苦から自己破産と離婚までしました。