それを経て勝ち取ったからこそこのプロポーズがただの婚約ではなく英雄への報償になるのです。
トミーや少女の分も幸せになる
2つ目に自分の目の前で死んだトミーやベルベル人の少女の犠牲の上にマイクの生存は成立しています。
マイクはきっとそんな犠牲になったトミーや少女の分まで幸せになることを心に誓ったのでしょう。
地雷によって無残にも死んでいく中でマイクは数々の幸運に助けられ、生かされました。
天の恵みだけではなく、そこには数々の痛みや苦しみ・悲しみを伴っての喪失があったのです。
だからこそ生き残った自分が出来ることは死んだ人達の分までしっかり生きて責任を果たすことでしょう。
このプロポーズはもう1つ亡き相方と自分を生かしてくれた少女への手向けも意味しています。
父との訣別
そして3つ目に何よりもかつての自分の中にもあった憎い父との訣別があったのではないでしょうか。
子供は親の背中を見て育つもので、虐待を受けて育ったマイクはそれを1度ジェニーに向けようとしました。
それは同時にマイクの中に父の暗黒面でもあり、それを52時間の極限状態で嫌というほど思い知ったのです。
だからこそそんな父のようにはならないことをこのプロポーズに込めているのでしょう。
こうした過去の自分と向き合い精神面で遥かに強くなったマイクの集大成がこのプロポーズなのです。
極限状態でこそ人間性が試される
本作でマイクを通して描かれているのは極限状態でこそ人間性が試されるということです。
普通ここまでの極限状態に追い込まれるとトミーのように耐えかねて自殺してしまいます。
もしくは発狂して近くに居る者に暴力を振るったり殺したりするかのいずれかです。
マイクだって少女を前に1度は怒鳴りつけるという大人にあるまじきことをしました。
しかし、彼はそれでも自らを助けようとし、だからこそ数々の運に恵まれ救われたのです。
極限状態の時こそ耐え忍ぶ強さを持てる人こそが本当に強い人なのかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本作は地雷をただのガジェットに終わらせず、それを通して人の精神の在り方を問いました。
52時間もただ待つだけという極限状態で果たして何が出来るかの挑戦を見事にやり遂げています。
日常生活でこのような極限状態を経験することは殆どないので感情移入はし辛いかも知れません。
しかし、誰しもが人生の中でこういう自分を試される修羅場に出会います。
その時の自分を助けられるのは自分であり、自分がしっかりしていれば天は助けてくれるのです。
マイクという人物はそんな希望を見せてくれた強い男ではないでしょうか。