では、どのような意味を持っているのか考えてみましょう。

今作では「打ち上げ花火は見る角度によって形は変わるのか?」という疑問に対して、「真横に位置する茂下灯台から見れば平たいのではないか」という仮説を検証しようという流れがありました。

この「灯台」という設定も「もしも玉」のデザインに影響を与えています。

灯台といえば回転しながら光っている部分。あの光は巨大な「フレネルレンズ」というものを利用して発光させています。

このレンズは灯台だけに利用されるものではなく、光源から発する光を集めて投光する映写機(プロジェクターなど)に使われることもあります。

さらにもう一つデザイン面で見ておきたい部分に、「もしも玉」が発動する際に真ん中にあるフィラメントの様なものが光り、「if」の文字が浮かび上がるという設定があります。

この2つの「もしも玉」のデザインに関する情報を組み合わせると、「もしも玉」は「if」が光源となり、もしもの世界を使用者に投影する映写機の様な装置として物語の中に存在していることが考えられます。

透明感のある金属音と「もしも玉」の関連を考察する

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「もしも玉」の効力が発揮されて過去のある時点に戻る際に、物語の出発点になっているのは、劇中で「透明感のある金属音」(以下、金属音)が鳴る少し前のタイミングでした。

ここでは、そのタイミングの一致から金属音と「もしも玉」の関連を考察していきます。

金属音はどんなタイミングで鳴っていたか

①夏休み中の登校日に海岸近くでなずなを見かけたとき
②50メートル競争のターンで足をぶつけたとき
③駅のホームでなずなが連れ去られそうになったとき
④電車に乗っていて、踏切待ちをしている祐介たちに見つかったとき

②~④の場面では、その後典道が「もしも玉」を投げ、金属音が鳴る少し前のタイミングから新しい選択をし直して物語が展開していました。

しかし、映画の冒頭にあった①の場面のみが金属音と「もしも玉」の繋がりから外れています。

これは、「繋がらなかったのではなく伏線を張った」と考えるのが妥当ではないでしょうか。
なぜなら、金属音が鳴る必然性のないシーンにおいて、②~④の場合と同じ音を劇中に鳴らしておきながら、選択を変更したいと思った時点に戻らないというのは不自然に過ぎるからです。

伏線はどのように回収されたのか

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次に、上で取り上げた伏線はいつどのように回収されたのかが気になるところです。

この伏線がどこに繋がっているのか知るためには、金属音と「もしも玉」の関係背から考えれば、「もしも玉」が効力を発揮したであろう場面を探せば良いことになります。

その場面とは、酔っぱらった花火職人が「もしも玉」を打ち上げたシーンです。

唯一「もしも玉」が投げられて(打ち上げられて)光を放ったにもかかわらず「もしもの世界」に移動しないどころか、「もしも玉」は砕け散り「もしもの世界」も崩壊していました。

崩壊後はいったいどの地点に戻ったのかを考えると、唯一回収されてない伏線である①のシーンだったのではないでしょうか。

考察からエンディングを解釈する

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