もしそんな世界をお手本にしていたのなら、彼らのやっていたことは芸術の部類に入るかもしれません。
お宝を手に入れるよりも犯行の過程が重視され、主人公たちになりきることが彼らの目的だったように見えます。
だとしたら盗むの失敗しても、やり切ることが大切だと思っていたはずです。
そして変装を思いついたのも、自分たちが役に入り込むためだった可能性があります。
素の格好で強盗に入ったら、犯罪をしていることを意識してしまい萎縮するかもしれません。
しかし普段はできないことでも、別人のふりをすることでやれてしまうのではないかと考えたのでしょう。
だから段取りと違った現場に戸惑っても、結果的にやり切ったように見えます。
ミスの連発
入念にリサーチして計画を練った割にはミスばかりが目立ちました。彼らのリサーチ自体何を基準にしたのかが問題です。
やったことがないものに対してイメージだけで計画を立てるのは非現実的と言わざるをえません。
例えば海外旅行に行ったことがない人が、旅行先で実際に何が必要なのかは想像がつかないでしょう。
逆に行き慣れている人ならば、他の旅行先でも何が必要なのかがきっとイメージできるはずです。
彼らにとって犯罪は別世界な出来事すぎて、的外れな計画が立ったのだと考えられます。
それに学生の彼らは経験値が低かったのでしょう。
彼らは同年代の仲間の反応しか知らないが故に、例えば司書の女性の対応や周りからどう見られるかが分からなかったのです。
社会人として経験を積んだ後ならば、もしかしたら犯行を成功させていた可能性もあります。
そういった未熟さから来るミスも大きかったのではないでしょうか。
逮捕された原因
あれほどシミュレーションを重ねた上での犯行でしたが、結局ミスを連発して、あっけなく逮捕されました。
彼らの逮捕劇は他にも原因があり、また逮捕されたこと自体にも意味があったように見えます。
失敗に終わってもいい
本当の目的は画集を売りさばいて大金を手に入れることではありませんでした。
何か大きな事件を起こせば成功・失敗にそれほど意味はないと考えていたはずです。
実行することが大切であり、実行できた自分は変わることができると信じていました。
確かに逮捕されるのは怖かったでしょう。
しかし逮捕されること自体は、世の中が思っているほど彼らは恐れていなかったのかもしれません。
だからこそ必死に逃走することなく、素直に逮捕されたのです。
つまり逮捕の原因は、目的が達成されたからだともいえるのではないでしょうか。
やめるきっかけを作る
もし逮捕されず絵画も無事さばけていたなら、彼らはこのまま強盗を続けるでしょうか。
強盗を仕事にして生きていきたいとは思わなかったはずです。
彼らにそれほどの度胸はないし、それ以上に強盗をしたいと望んでもいないでしょう。