ジュリーはニューヨークの大学院へ進学し、生まれた息子を養っているでしょう。

その幸せの代償としてニックを失うことになりますが、反面ニックの忘れ形見でもあります。

だからこそ、ジュリーは自分を守ってくれたニックの為にもきっと幸せな家庭を築くことでしょう。

トレバーとアマンダ

また、ニックが救ったのはジュリーだけではなく、親友のトレバーと恋人のアマンダも含まれています。

ジュリーが生き残ったことでこの二人も幸せな未来をその手に掴んでいることでしょう。

仕事においてもきっと順調な結果を残して円満な家庭を築き上げたのではないでしょうか。

ニックが望んだのは自分の幸せ以上に友人の幸せで、私利私欲に走りかけた所から何とか戻ってきたのです。

だからこそジュリー同様喪失の痛みは伴うけれども未来はきっと明るいのではないでしょうか。

仕事の人間関係

仕事も人間関係も「もう嫌だ!」と思ったときに読む本 ~心の凹みと悩みとストレスに効く、心の疲労回復薬~

さて、ここで分からないのが仕事の人間関係、特に嫌味な上司ブリストルやゲイの投資家マルコムなどです。

彼らもまた生きていることでしょうが、どうもいい未来は歩めそうにありません。

何故ならば本作においては私利私欲で動こうとした者はニック含めて誰も幸せになっていないからです。

前作から継承されたのは何よりもここにあって、きっとこの二人はいい未来はないのではないでしょうか。

ジュリーやトレバーとアマンダとはまるで正反対の存在として描かれていました。

本作の未来は誠実に努力をした人が最終的に報われる前作の構造を受け継いでいるものと思われます。

過去と向き合うこと

アファーマティヴ・アクションの行方―過去と未来に向き合うアメリカ―

前作との比較・検討も含めれば、本シリーズ一番のテーマはやはり「過去と向き合うこと」ではないでしょうか。

エヴァンとニック、二人は性格も状況も解決すべき問題の質も全く違っておりそこで優劣はつきません。

しかし双方とも目の前にどうしても片付けないといけない問題があり、そこに必死になっている点は同じです。

過去と向き合うというと後ろ向きに聞こえますが、時に立ち止まって一つのことを振り返るのは悪くありません。

寧ろ過去を振り返ることによって何が問題なのか、どうすれば解決出来るのかを試行錯誤で学べるからです。

ニックもまたその意味で自分の過去と向き合い自分に打ち勝って多くの人を幸せにした主人公といえるでしょう。

肯定的に見ること

ドストエフスキー論―肯定と否定 (1966年)

本作は前作の完成度の高さや作風の違いなどの落差から評価は決して芳しいものとはいえません。

しかし、こうして考察してみると実は根っこの部分で前作の精神性をしっかり継承していたことが窺えます。

ニックはきちんと恋人ジュリーと親友トレバーと彼の恋人アマンダの為に自己犠牲の出来る男でした。

話が進むと私利私欲に傾く時もありましたが、それも終盤での格好良さへとしっかり昇華しています。

批判したり否定的な意見を投げたりすることは案外誰にでも簡単に出来ることです。

しかし、大事なことは一旦肯定した上で否定や批判の本質を見極めてその原因を追及すること。

そうすることでまた違った作品として見えてくるのではないでしょうか。

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