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矢沢あいの大人気少女漫画を原作とした映画「NANA」
原作に忠実なストーリー展開に加え、中島美嘉が演じる大崎ナナの歌が見る人を魅了した映画です。
今回は、主人公の2人のナナの心が触れ合う幸せな終わり方をした前作に続き、波乱の展開を見せた続編について考察していきます。
ナナがハチと距離を置き始めた理由やノブとタクミとの関係の結末など、気になるところを徹底追求。
ルームシェアが終わったナナとハチの再会は今後どのような関係に落ち着くのかにも迫っていきます。
空っぽで流されやすい女性ハチ
2人のヒロインが主人公の「NANA」ですが、2はハチである小松奈々(市川由衣)を中心として展開したとっても過言ではありません。
ナナ視点のストーリーはバンド「BLACK STONES(ブラスト)」とハチとの関係を中心に展開します。
そんなナナやブラストのメンバーを翻弄していくのは、なんのとりえも無いハチです。
惚れっぽく流されやすいハチの恋心はナナや周囲の人間の心に嵐を巻き起こします。
ブラストのマドンナ
練習に毎回足を運びバンドをサポートするハチは、ブラストのマドンナ的存在です。
犬のように人懐っこいキャラクターからも、愛玩的で庇護欲を掻き立てられる一面があったのでしょう。
人に愛情に飢えていたシンは姉のように慕い。
同じように犬属性のノブは恋心を抱きます。
その場にいるだけでバンドを盛り上げるハチは、彼らにとってかけがえのない存在になっていたのです。
マイナスの多い女性の代表
ブラストにとってのハチはマドンナではあるものの、彼女自身は可愛い以外に何のとりえも無い人間です。
バンドを成功させるという夢を持つナナたちと過ごす中、自分の空っぽさに不安を抱える一面もあります。
家事はできるものの社会人としての行動は甘く会社からは解雇される。
寂しければ優しくしてくれる男性に抱かれてしまい、感情に流されて行動してしまう。
最終的には夢も目標も定まらず、日雇いのバイトでとりあえず生活する日々…
そんな人間的にもマイナス面の多いハチの行動は、観ている女性の心に様々な感情を抱かせます。
時には共感を、時には同族嫌悪による苛立ちを与えながら観る人をストーリーに感情移入させていくのです。
女同士の友情とほのかな恋心
ナナとハチは、お互いに友人を超えた感情を持っています。
男性的な視点の強いナナは、庇護欲と独占欲からハチに対する愛情を。
メルヘンチックな感情の強いハチは、レンを捨ててでも夢を追うナナに憧れと恋心を抱いています。
唯一無二の相手として友情を抱いている反面、お互いに男性には抱かないような不変の愛情を持っていたのです。
親友であり恋人でありルームメイト。
性別を超えた普遍の関係性が2人の間には生まれていたのではないでしょうか。
ハチの憧れの人物タクミ
作中でのタクミは、甘い言葉でハチと共に一夜を共にします。
女性の影が絶えない色男のように描かれていますが、その裏にどんな人生を抱えていたかは映画の中からは伺えません。
ハチの憧れのバンドメンバーであった彼はいったいどのような人物だったのでしょうか。
TRAPNESTのリーダー
タクミは、ブラストのメンバーだったタクミを引き抜いたTRAPNEST(トラネス)のリーダーです。
仕事とバンドを1番と考えて行動しトラネスの歌姫であるレイラを妹のように大切にしています。
しかし、映像の中での描写は少なく2人の関係性は伝わってきません。
これに関しては、原作漫画に目を通したほうがトラネスメンバーの関係を深く知ることができます。
トラネスとレイラの歌声を1番に考えて行動する人物。
それがTRAPNESTのリーダー、タクミなのです。
一夜の夢
タクミは、レンの女の友人・ファンの1人としてハチと接します。
電話をかけたタイミングでたまたま目の前を歩いていた彼女を食事に誘い、そのままホテルで一夜を共にしてしまいます。
行動のスムーズさから、彼自身はハチを誘った段階からその気があったのでしょう。
流されやすいハチは、憧れの人物を相手に喜びと共に一歩引いた気持ちで行動します。
大丈夫、覚悟はできてる。ほんのしばらく夢が見たいだけ…