更には幸せを呼ぶという意味で13の釘ともう一つ蜘蛛の巣まで張っていたりと物凄くマニアックな構造をしています。
隠し扉や隠しドアなども殆ど無意味としか思えず、要するにこれは幽霊とは別のサラなりの遊び心でしょう。
思えばサラは幽霊を解放しようと増築したのですから、普通の人の考えとはどこかズレていた可能性があります。
それが意図的なものではなく元々素だったと考えられ、サラの考えの一面が見られて面白い所です。
4人の共通点
本作の中心人物はサラ、エリック、マリオン、ヘンリーですが彼らには共通点がありました。
それは4人共配偶者なり娘なりといった身内の大切な人達を亡くしているという点です。
しかも共通しているのがほぼ全員ウィンチェスター銃でその人達を亡くしているということです。
即ちウィンチェスター銃に少なからず悪縁のある人達だったのではないでしょうか。
だからこそ運命のようにしてお互いを引き寄せ合い、この屋敷に集まったのでしょう。
ベンとは4人の鏡面
こうして見ていくとベンは4人の鏡面の象徴であることが分かっていきます。
ベンもまた召使いとして働いていながらウィンチェスター銃によって戦死しました。
その恨みがずっと消えずに残り、もしかしたら4人も彼のようになっていた可能性があります。
だからこそサラ達はベンのようにならない為に自分の弱さと向き合い戦ったのでしょう。
そういう意味では4人のヒーロー達が悪霊と戦い乗り越えるヒーロー物語の側面もあると推測されます。
ウィンチェスター銃に象徴される時代性
本作で象徴的に用いられているウィンチェスター銃、それはいうまでもなく“戦争”の象徴です。
思えばウィンチェスター銃が作られた当時は軍用銃として戦争で用いられていました。
そしてその軍用銃が無実の幸せな家庭の人達の命を次々奪っていったのです。
それは20世紀の内の半世紀が無益な人間同士の殺し合いという殺伐した時代だった証左でありましょう。
その時代性の悲劇性をある意味ではずっと呪われた宿命として背負った存在なのかもしれません。
今でもアメリカで最も呪われた屋敷として残り続けているのもこの時代性に負うところが大きいのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本作は確かに一本のホラー映画として見ると決して完璧な作品とはいえないかも知れません。
しかしホラーを通してサラ達の人間ドラマとの成長過程はしっかり王道として描かれていました。
また、ウィンチェスター銃に象徴される19世紀末から20世紀初頭という時代性の悲しさも背後に窺えます。
そのような先人の厳しい時代の試練があり、その上にこそ我々が生きていることを忘れてはなりません。
第二・第三のベンを生み出さない為に増築をずっと続けてきたサラ達の努力は凄まじいものです。