間接的に描かれていたのはキリスト教においての、イエス・キリストの存在感と共通するものがあったのかもしれません。
イエスが癒したのは病だけではない
ラストシーンはイエスの神の力を目の当たりにするシーンとなっています。
疫病が消えていくのが印象的ですが、このラストには深い意味が隠されていたのです。
イエスが生まれた意味と死んでいく意味
イエスは死の間際に下記のセリフを残しています。
父よ、彼らをお許しください。
彼らは自分たちが何をしているのか知らない。
引用:ベン・ハー/配給会社:ロウズ・シネプレックス・エンターテインメント
イエス・キリストは神の意志によって生まれ、人々の罪を贖う為に死んだといわれています。
劇中で描かれている憎しみや絶望は、全てラストへと繋がる伏線だったということも出来るのではないでしょうか。
憎しみを癒した
ベン・ハーは最後にローマへの憎しみを手放すことが出来ました。
彼の言葉が私から剣を取り上げた
引用:ベン・ハー/配給会社:ロウズ・シネプレックス・エンターテインメント
イエスは「許し」によって、憎しみを消し去ったのでしょう。
宗教色の強いラストシーンになっていますが、憎しみが人を不幸にするという大きなメッセージか隠れているようです。
疫病は罰
エルサレムを襲った疫病は「罰」である、という考えかたもあります。
この考え方を本作に当てはめて考察していくと、母親ミリアムや妹ティルザが疫病になったのは、ベン・ハーが持った強い憎しみによるものです。
大切な人たちが疫病になったことで、彼の憎しみは増強していく…。
まさに負の連鎖が醜く繰り広げられていたのです。
神が与えた罰を全て回収していったのもイエスなのでしょう。
戦車競走は実在した
劇中に登場する戦車競走ですが、時代背景を辿っていくと、古代ローマにおいて実際に競技されています。
レースが一旦始まれば、戦車は互いの前に進み、競走相手をスピナエに衝突させようと試みることができた。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/戦車競走
スピナエというのは中央分離帯のようなもので、そこへぶつけてしまうのですから実際にもなかなか激しい競技だったようです。
古代ローマの権力や残忍さを示す競技の一つといえるでしょう。
しかし実際は刃物が付いていたりしなかったようで、こちらは映画におけるエフェクトです。
また、劇中に登場する7ヘクタール以上の闘技場はスタジオ隣に実際に作られました。
制作費54億円をかけた『ベン・ハー』が、全てにおいて桁外れの魅力を持っているのも納得出来ます。
同年アカデミー賞で作品賞・監督賞・主演男優賞・助演男優賞をはじめ11部門のオスカーを受賞。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/ベン・ハー
本作のスケールの大きさは、アカデミー受賞数という数値にも表れているようです。
憎しみの真実を教えた名作
2016年にはリメイク版も公開されるなど、まさに名作中の名作といえるでしょう。
ベン・ハーの人生を通して、憎しみとは一体どのようなものなのか人の罪とは何なのか、深く考えさせられる映画です。
本作に登場するイエスは宗教色が強いともいわれていますが、彼の持つ慈悲の心は誰しもが持つ人の優しさなのかもしれません。