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『GANTZ』で知られる奥浩哉の漫画を原作とし、佐藤信介監督がメガホンをとった映画「いぬやしき」。
地球外生命体による事故に偶然巻き込まれたサラリーマンのジジイ犬屋敷壱郎(木梨憲武)と『るろうに剣心』の佐藤健演じる高校生の獅子神。
2人は自分の体が機械になり、特殊な能力が備わっていることに気がつきます。
命を助けるために能力を使う犬屋敷に対して、命を奪うために能力を使う獅子神。
獅子神はそのせいで母と渡辺しおん(二階堂ふみ)を失い、暴走を始めました。
安堂(本郷奏多)が犬屋敷に助けを求め、獅子神を倒しますが、死んだはずの獅子神が安堂のもとに姿を現します。
獅子神は生きていたのでしょうか。
今回は、ラストの獅子神の生死・獅子神が暴走した原因・命を救うことに犬屋敷が生き甲斐を感じた理由を考察します。
命を救うことに犬屋敷が生き甲斐を感じた理由
犬屋敷だって暴走する要因はあります。日常生活での不満と病からの不安で自暴自棄になってもおかしくありません。
しかし彼は暴走するどころか命を救うことに生き甲斐を感じます。
必要とされてこなかった
犬屋敷は今まで生き甲斐を感じていませんでした。なぜなら周りの人間が彼を必要としていなかったからです。
真面目に働いても評価してもらえないし、家を買っても喜んでもらえない。
自分が起こしたアクションに対して何にも返って来ないなら、何もしていないのと同じなのではないか。
末期がんであることを家族に言い出せなかったのも、リアクションがないことを恐れたからだと思われます。
自分が死に直面していることさえも無視される状況は、ある意味死ぬよりも耐え難いかもしれません。
些細な反応でもいいから欲しいという欲求が常に彼の中にあったのだろうと推測できます。
回復した元気な姿が犬屋敷の欲求を一番満たしてくれたのでしょう。
存在価値を見つけた
医者でも救えない命を救える力は特殊な能力であり、犬屋敷と獅子神しか持っていません。
しかし犬屋敷は、この能力を使う以外では相変わらず不必要な存在です。
だからこそこの力を使う時だけ、自分は特別であり必要とされる存在だと実感できたのではないでしょうか。
それだけが存在価値をくれるとなれば、生き甲斐になるのは当然だと思われます。