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1986年のアメイカ映画「ザ・フライ」は、科学者セス・ブランドルが一匹のハエと遺伝子レベルで融合してしまう悲劇を描いた作品です。
物質を転送する装置に自ら入り込み、実験は成功したように見えましたが、彼の肉体は徐々にハエと変貌を遂げます。
ヴェロニカはセスの変わりゆく姿に絶望し、一方のセスはヴェロニカとお腹の子供と3人で融合しようと迫るのでした。
心身ともにハエになったセスですが、一瞬人間の意識に戻り、殺してくれと懇願します。
ヴェロニカはセスを殺してしまうのでしょうか。
今回は、ハエ男になった原因・猿の実験はなぜ失敗したのか・ヴェロニカが引き金を引いた理由を考察します。
孤独な実験の理由
多くの科学者が集まるパーティーに参加したセスですが、彼の実験施設は倉庫のような建物。
歴史的な研究をしているにもかかわらず、実験はセス1人で行っていました。
なぜ彼は1人でこのような実験を行っていたのでしょうか。
社会的地位より個人的興味
転送が可能になれば人類の生活は新たな局面を迎えるはずですから、その実験を1人で行っているのは不思議です。
本来ならば資金力のある大きな研究所でやるべき内容ではないでしょうか。
人材も資金もあれば、この実験ももっとスムーズに結果を出せたはずです。
そうなればセスは研究メンバーのリーダーになっていたはずで、地位も名誉も彼は手にできていたでしょう。
それにも関わらず彼が孤独に実験していたのは、個人的な興味からだったのかもしれません。
誰にも邪魔されたくない
彼が誰の助けも借りず実験をしていたのは、実験の邪魔をされたくないからかもしれません。
資金を援助してもらうことは可能だったと思われますが、それを要求しなかったのは誰の指図も受けず自分の思う通りにしたかったからでしょう。
援助を受けた場合「金を出す=口を出す」ですから、援助者の言う通りにしなければなりません。
もし資金が打ち切られたら実験はそこで終了になります。
そうならないためにも、自分だけで実験を続けようと決めていたのかもしれません。
テレポッドはセスの欲望そのもの
ハエ化していくセスは、自分についてこれないヴェロニカを捨て他の女性を求めに出て行きます。
そして手に入れた女性をテレポッドに入れようとしました。
食べようとするわけでもなく肉欲のためでもなく、女性をテレポッドに入れようとするのは何故なのでしょうか。
ずっと愛を欲していたセス
「食べちゃいたいほど愛おしい」という言葉があります。
セスの場合は「細胞レベルで一体化したい」というのが最上級の愛の表現だったのでしょう。
人生を費やした研究の成果を愛のために使うことは、彼が愛のために人生を捧げたと言い換えることができます。
つまり彼は科学者としての成功を欲していたのではないのかもしれません。