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2016年に公開されたアメリカ映画『ナイスガイズ!』は非常に愉快なコメディ系アクション映画となりました。
監督・脚本は『リーサル・ウェポン』で有名なシェーン・ブラック、主演をラッセル・クロウが演じています。
また相棒役をライアン・ゴズリングが演じ、予告編にもあったように二人の凹凸コンビとアクションが見所です。
1977年のロサンゼルスを舞台に酒浸りの私立探偵マーチと横暴な示談屋ヒーリーが凄まじい陰謀に巻き込まれていきます。
数々のパロディを散りばめた本作ですが、今回は展示会で銃が乱射された意味をネタバレ込みで考えてみましょう。
またジュディスの目的やアメリアの正体、映画制作の狙いも併せて掘り下げていきます。
70年代アクション風コメディ映画
本作は日本でかつて「不思議コメディ」という一時代を築き上げたジャンルをハリウッド映画で行ったものです。
本作の主人公マーチとヒーリーはナイスガイズというタイトルとは裏腹に実際の人物像はその真逆です。
マーチは酒浸りで人間として最底辺の生活をしており娘のホリーから「最低の私立探偵」と散々貶されています。
また元軍人のヒーリーは正義感はあれど誰かの腕をへし折って示談へ持ち込むしか力の使い方を知らないパワーバカです。
また周囲の登場人物も命が軽く奪われたり、ある少年に至っては自身の男性器を自慢したりと只管ボケ倒しています。
ここまで行くともはやヒーロードラマではなくヒーロー風コメディドラマというジャンルに位置するでしょう。
そうした構造が本作の根底にあることを念頭に置いて以下考察していきましょう。
展示会で銃が乱射された意味
本作は基本どのシーンもコメディベースで話が展開されますが、その中に数少ないシリアスな要素もあります。
それが本作最大の殺し屋ジョン・ボーイであり、マーチとヒーリーとは対照的に基本冷静さを崩しません。
そんな彼がポルノ映画の展示会で銃を乱射したことにはどのような意味があるのでしょうか?
証拠隠滅
まずボーイがここでやりたかったのは映写機のフィルムごと証拠隠滅したかったのです。
何の証拠隠滅かというと、アメリアをはじめとする映画関係者達と彼らが残したフィルム全てでした。
これは映画製作の狙いで述べますが、ここで証拠隠滅しておかないと彼らの立場がなくなるのです。
だからこそ是が非でもボーイはフィルムを消すことで真実を暴かれないようにしようとしたのでしょう。
仲間の仇討ち
二つ目にジョン・ボーイは自分の同僚である他の殺し屋をマーチとヒーリーに殺されています。
何せヒーリーは元軍人でいざとなれば相手の命を奪うことに何の罪悪感もない男です。
更に演じるマット・ボマー自身マーチとヒーリーは想定外の動きをしてくるから侮れないと語っていました。
このことから尚更ボーイは警戒心を強めて始末したくなるでしょうし、同時に本作が喜劇となりえる所以です。
相応の盛り上がりはあるのですが、シリアスに完全になりきらない所も実に本作らしいではありませんか。
王道のシチュエーションを用いつつ決して完璧にはしないことで仲間の仇討ちという悲壮な要素も薄まります。