つまりこのトイレの壁画は宏と真衣が交わった三ヶ月間の集大成として花を咲かせました。

バイクで死ねなかった理由

義弟 (集英社文庫)

宏と真衣の出会いは制服絡みでトラブルを起こしていた真衣とロビーで偶然出会っただけでした。

検査結果を知った直後真衣は一緒に死なないかととんでもなく物騒な提案をします。

しかしながら宏にその選択が出来なかったのですが、その理由について見ていきましょう。

心構えが出来ていなかった

死を迎える心構え

まず最初に挙げられるのは余命宣告を受けた直後で死を受け入れる心構えが出来ていなかったことです。

ほんの数分前まで自分が突如死ぬ運命にあるだなんて思いも寄らなかったことでしょう。

まだ三ヶ月ほど死ぬまで余裕があるのだからじっくり彼なりに死という運命と向き合う時間が必要でした。

だからこそ衝動的に一時の感情に駆られて大局を見失うバカにはなりたくなかったのでしょう。

それが同時に真衣との対比にもなっているのです。

他人を巻き込みたくなかった

人を「巻き込む」コミュニケーション技術 その気にさせる仕事のさばき方

二つ目に見ず知らずの他人である真衣を巻き込む形で死にたくなかったのではないでしょうか。

幾ら真衣からの一方的な提案だったとはいえ彼女はまだまだこれからがある女子高生です。

成人しておらず、育ててくれているご家族や友人など抱えるものが沢山あります

自分一人で責任を取り、仕事と夢以外抱える物がない宏とはその辺が全く違うのです。

だからこそ見ず知らずの他人を諸共巻き込んで心中しようという気になれなかったのでしょう。

画家志望とはいえそんな酷な選択をする程宏はバカではありません。

元カノに追いつきたかった

元カノに幻想を抱くなバーカ

そして三つ目に真衣以前に宏には同じ画家志望の元カノ尾崎さつきが居たことも無関係ではありません。

彼は画家として既に大成した彼女へ何とか追いつきたかったのではないでしょうか。

それは物語中盤に偶然再会したさつきから嫌味をいわれる所でも顕著に出ています。

しかも隣に個展でお世話になった新しい男性がいることも余計に影響を与えたのでしょう。

自分よりも先に夢を叶えた者が居るのに自分はその夢も叶えられず死ぬことになるのです。

そんなことを簡単に割り切ってバイクで事故死することは出来なかったと推測されます。

真衣が死ぬ方法を尋ねた理由

ひとり、家で穏やかに死ぬ方法

物語のラスト、トイレのピエタを見て宏の死を知った真衣は横田に死ぬ方法を尋ねます。

その顔には怒りが走っていましたが、横田はその質問に答えられず彼女は只管走るのです。

彼女はなぜ横田に死ぬ方法を尋ねたのでしょうか?

宏の元へ行きたかった

一番の根っこにあったのは宏の元へ行き宏に責任を取らせたかったからではないでしょうか。

何しろファーストキスを捧げて生きてみろと全力で訴えた矢先にこれだったのです。

数々の喧嘩やすれ違いを繰り返しながら、それでも本音で真っ直ぐにぶつかり合ってきた二人。

だからこそ真衣は何が何でもこの掴んだ幸せを逃したくなかったのでしょう。

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