両親から洗脳に近い形で育てられてきた彼女が初めて両親に依存せず作れた人間関係がアンニャだったのです。

しかしそれが同性愛という社会から忌避されるものだったばかりにずっと彼女は苦しむことになりました。

つまりテルマはアンニャと再会し結ばれることで初めて自分の足で立って歩くことが可能となったのです。

しかし一方でそれはテルマとアンニャが少数派として孤独な道を歩むという苦さも含んだ結末でもありますが…。

ウンニが歩けた理由

車イスが教えてくれた ありがとう(あさ出版電子書籍)

テルマがずっと気がかりだったことの一つが車椅子での生活を余儀なくされていた母ウンニでした。

彼女もまたラストで歩けるようになったのですが、その一つにテルマの潜在意識の具現化があったでしょう。

ここではそのことを踏まえて違う観点からウンニが歩けた理由を考察していきましょう。

依存の裏返し

人はなぜ依存症になるのか 自己治療としてのアディクション

母ウンニはテルマとは違い身体的にも肉体的にもずっと他者に依存しないと生きていけない人でした。

ここで不思議なのは何の精神的試練も乗り越えていないのに終盤で急に歩けるようになったことです。

いってみればこれは「依存の裏返し」であり、テルマが抱えていた苦悩の一つが間接的に表現されています。

つまりテルマの潜在意識が変わることで彼女と関わりが深い人の現実が悉く裏返しとなっていくのです。

しかし、この結末は果たして本当に良きものだったのでしょうか?

感動ではない

感性は感動しないー美術の見方、批評の作法 (教養みらい選書)

少なくともここで表現されているのはウンニが歩けるようになった感動ではないでしょう。

なぜならばウンニをほったらかしにしてアンニャの方へと向かってしまう流れがあったからです。

これはある意味神の力を持ち本質に目覚めたテルマが母に与えた罰ではないでしょうか。

幾ら父に抑圧されていたとはいえ、ウンニはテルマの味方になるどころか足手纏いですらありました。

つまり救ったと見せかけて実は強制的にウンニを独りぼっちへと追いやった格好になります。

ここに単なる悲劇のヒロインではない残酷なテルマの顔が表現されているのです。

親離れは不意に訪れるもの

親離れできれば生きることは楽になる 自分がもっと強くなる“一人立ち”のすすめ (PHP文庫)

そして三つ目にこのシーンが挿入されたのは親離れが不意に訪れるものだと示したかったからです。

父を燃やしたことに対しても弟の死に対しても、子の親離れは知らない形で不意に訪れます。

テルマにはテルマの人生がありその主役は他ならぬテルマ自身なのです。

それを信仰心を押しつけたり記憶喪失にさせたりしても封じ込めることは出来ません。

実はウンニが一番残酷な生き地獄の運命を味わったことになるのではないでしょうか。

父が燃えた意味と弟の死の真相

そしてもう一つ、今度は男性陣に目を移して父トロンが燃えた意味と弟の死の真相です。

この二人の死はそれぞれにニュアンスは違えど死という運命を辿っています。

ここに表現されている意味は何なのでしょうか?

仇討ち

仇討ち (角川文庫)

まず一つには祖母や母の人生を狂わせた仇討ちという復讐の意味があるのではないでしょうか。

テルマが許せなかったのは自分の能力が祖母の隔世遺伝と知りながらそれを隠蔽したことです。

信仰心を大切にしてきた彼女にとって父がやったことは神に逆らうことだったのでしょう。

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