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スペイン出身の奇才、ギレルモ・デル・トロ監督。
『パンズ・ラビリンス』や『シェイプ・オブ・ウォーター』など、そのダークで幻想的な世界観は唯一無二のもの。
一方日本のアニメ・特撮作品の大ファンとしても知られ、『パシフィック・リム』などの作品への影響も認めています。
そんな彼が手掛けた『クリムゾン・ピーク』。赤く染まる雪山に建つ屋敷を舞台の恐ろしく切ないラブストーリーです。
主人公イーディスを演じるのはディズニー映画の実写版アリス役で知られるミア・ワシコウスカ。
脇をロキ役でお馴染みのトム・ヒドルストン、『ゼロ・ダーク・サーティ』のジェシカ・チャスティンらが固めます。
そしてもちろんデル・トロ作品には欠かせない、『シェイプ・オブ・ウォーター』で半魚人を演じたダグ・ジョーンズも登場。
長身とパントマイムの技術を活かして様々なクリーチャーに扮してきましたが、本作でもキーとなる幽霊役を演じています。
なぜ証拠は残されていたのか
本作で登場する亡霊たちは鮮血を思わせる赤色や闇のような黒色をまとったおどろおどろしい姿で描かれています。
ですが幽霊たちはイーディスに危害を加える存在ではなく、むしろ警告を与え真実へと導く役割を担っています。
その結果、シャープ姉弟の悪事と秘密が明るみに出ることとなりました。
しかし不思議なのはルシールとトーマスが前妻たちを殺した証拠を処分していなかったことです。
エノーラの鍵を管理していたのはルシールですから、彼女が意図的に証拠を補完していたことが分かります。
新たな花嫁に幽霊が見えることを知らなかったにしても詰めの甘い印象がぬぐえません。
ルシールにとっての殺人や殺した人間たちの遺品はなんの意味を持つものなのでしょうか。
ルシールの殺人には2パターンある
ルシールが殺してきた人数は、明かされる限りでは5人。
イーディスの父カーター、トーマスの3人の前妻、そして自らの母親です。
ルシールの殺人はお金のためのものと愛のためのものの2種類に分けることができます。
お金のための殺人
カーターを殺したのは、イーディスを天涯孤独にしてその資産を手に入れるためです。
詳細には描かれませんが、前妻たちと結婚する過程でもそうした殺人はあった模様。
ルシールの目的はトーマスの発明を成功させ、屋敷での暮らしを続けること。そしてそのためには資金が必要でした。
目的のためには手段を選ばない、彼女の異常なまでの冷酷さが分かります。
愛のための殺人
一方、前妻たち3人の殺害をルシールは愛のためだったと語っています。その盲目的な愛は狂気さえ感じられるもの。
実際の夫婦関係は成り立たなかったとしても、トーマスの“妻”は彼女にとっていまいましい存在でした。
自分からトーマスを奪おうとするなんて、許せない…。その強い想いが彼女を殺人に走らせたのです。
そして同じことが、母親殺しにもいえると考えられます。
トーマスを1番に愛し、庇護しているのは母親ではなく自分なのだ、と彼女は考えていたのではないでしょうか。