認められない「愛」の切なさが、観客の心を揺さぶるのではないでしょうか。
実際の演奏が涙を呼ぶ
ラストシーンに流れるのは、依頼人でありマサコちゃんの妹弓子の奏でるヴァイオリンです。
実はこのシーンは弓子を演じる尾野真千子が、猛練習をして実際にヴァイオリンを演奏しています。
兄と妹の絆の象徴となったヴァイオリンなだけに、実際に演奏しているということが大きな意味を持ってくるのでしょう。
弓子のヴァイオリンの音色に乗って、兄妹の過去や事件の悲劇性が迫ってくる切ないラストシーンとなっています。
秘められた社会問題が感動を呼ぶ
現実的な世界と非現実的な笑いのミックスが魅力となっている本作ですが、社会問題も埋め込まれています。
解決しきれない現代社会の闇が、観る者を切なくさせるのかもしれません。
LGBTへの差別
マサコちゃんの殺害事件そのものにも、その後の捜査過程にもLGBT(性的少数者)への差別意識が窺えます。
ネタバレになりますが、客引きの学生がマサコちゃんを殺したのも女装男子が有名になったことが原因です。
彼は自分より下のものとして、マサコちゃんを見ていたことになるのです。
更に橡脇が犯人ではないか、と疑われたのもバイセクシャル=スキャンダル、という共通意識が社会に存在している為でしょう。
LGBTへの差別意識が無かったら、事件は起こらなかったのではないでしょうか。
自分たちとは違うものを受け入れられない、という学生の器の小ささが問題となってメッセージ性を強めています。
顔が出ないマスクでの暴力
劇中に登場し、「俺」と高田の邪魔をしてきたマスク集団がいました。
彼らは自らの顔を隠し暴力をふるっていたのですが、SNS上で広がるネット上の暴力に繋がる描写です。
自分の正体を隠すことで、自分の隠れたストレスを発散するかのように暴力的になっています。
橡脇支持者の彼らは、マスクが取られた瞬間に人柄が変わったかのように大人しくなっているのです。
現代社会が抱える大きな問題が暗示されているシーンとなりました。
前作よりもスケールアップしている
本作は大泉洋と松田龍平の駆け引きが最高、と絶賛されています。
前作「探偵はBARにいる」同様に、札幌のススキノを舞台に繰り広げられる2人のドタバタ劇は更にスケールアップしていました。
2人の間がいい感じ
何といっても見どころは、探偵と高田の掛け合いです。
この2人の絶妙なやり取りは、前作よりも更にパワーアップしていたのではないでしょうか。
実はこの二人は実際にも仲が良く、ロケ中もお互いに絡んでいるようです。