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『クリード チャンプを継ぐ男』の続編で、イワンとヴィクターのドラゴ親子とロッキーとアドニスの子弟が戦う『クリード 炎の宿敵』。
ロッキーシリーズ第四作『ロッキー4/炎の友情』でアポロを殺すイワンを演じたドルフ・ラングレンが、再びロッキーの前に立ちはだかります。
マイケル・B・ジョーダン演じるアポロの息子アドニス・クリードは、父親の因縁に決着をつけようと、ドラゴ親子との対決を望みました。
映画の中でアドニスがレフェリーに対して、自分の名前を大きな声で言う場面があります。
リングの上のしかも試合中に、自分の名前を叫ぶことはあまりないと思いますが、なぜあの場面で自分の名前を叫んだのでしょう。
そして、試合は結局ドラゴ親子の負け。最後にはイワンがタオルを投入します。なぜイワンはタオルを投げたのでしょうか。
さらには映画ラストには、ロッキーが会うことを嫌がっていた息子の家に行き孫と対面しました。
ほとんど諦めていた孫や息子の顔を見に行くロッキーの心境に、一体何があったのでしょうか。今回はこれらを考察していきます。
レフェリーに名前を確認されたアドニス
まずはアドニスが自分の名前を叫ぶ理由から考察します。
単純な理由として考えられるのが1つあり、それはレフェリーから名前を確認されたから、というものです。
クリードだ!
引用:クリード 炎の宿敵/配給会社:メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
こう叫ぶ直前は、アドニスがドラゴの息子であるヴィクターに、一方的にやられ、何度目かのダウンをしているときでした。
この時さすがにやばいと思ったのか、レフェリーがアドニスに対して自分の名前を言うように指示しています。
おそらく意識があるかどうかの確認でしょう。アドニスが自分の名前を言う単純な理由としては、これがもっともらしいです。
しかし、もっと深い意味がこの場面にはあるのでした。
俺は「俺」だ!クリードだ!
試合で出す「クリード」の名前は、日本でいうところのいわば名字にあたり、このクリードは父親アポロから譲り受けた名です。
そしてそのアポロは、今回対戦するヴィクターの父親であり、セコンドでもあるイワンにリングの上で殺されています。
さらにアポロが死ぬ試合には、アドニスの師であるロッキーがセコンドについており、そのロッキーが後日イワンを倒しました。
このような関係の中で、息子同士が戦うわけです。
アドニス・クリードだ!
1回目アドニスとヴィクターが戦ったとき、アドニスが挙げる戦う理由は、アポロやロッキーの因縁の相手の息子であることでした。
だがこの戦いは、2人のためだ。考えてくれ宿敵を倒し、悪夢を払拭する。歴史を書き換えるんだ。
引用:クリード 炎の宿敵/配給会社:メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
こちらは、1回目のアドニスの戦いに臨む前、アドニスがデュークに対して言ったセリフ。
アドニスは「2人」、つまりアポロとロッキーのために戦おうとしていたのです。
これはアポロやロッキーという名前が、常にアドニスの頭にチラついてたからでしょう。
世間はクリードと言えば「アポロ」なのです。一方、2回目の対戦は自分や家族のための戦いだと思ったアドニス。
世間に知らしめたいのは「クリードと言えば、アドニス・クリードだ」ということ。だから「クリード」と大きな声で言うのです。
ハートで負けた一回目
ストーリーの中で、ヴィクターとは2度目の対戦しています。1度目は判定こそ「反則勝ち」でしたが、試合としては完全に負け試合。
そこで負けた理由を、ロッキーは冷静に分析していました。
ハートで負けた。お前のボクシングが奴には通じなかった
引用:クリード 炎の宿敵/配給会社:メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
ハートで負けた前回は、ヴィクターの圧力に屈して下がってしまいました。2度目はそんなこと許されません。
だからこそ、自分は「クリードである。何度でも立ち上がる不屈の男である」と言い聞かせるために自分の名前を叫ぶのです。
クリードの名前は自分だけじゃない
クリードは自分だけではありません。アドニス自身を意味するし、父親のアポロも意味します。
それだけでなく、結婚して妻と子どもができたのであれば、妻子も「クリード」となるのです。
アドニスにとって「クリード」は、これまで以上に守り通すべき人の名前になりました。
ロッキーは再戦を望むアドニスに、生半可な気持ちでやることの危険性、家族ができていることを注意します。
だから負けられない
引用:クリード 炎の宿敵/配給会社:メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
この時、アドニスにとって「クリード」が、背負わされてきたものから背負うべきものになったのです。
その気持ちを表現したのが、リング上で自分の名前を叫ぶシーンに込められています。
厳しい「父親」イワン・ドラゴ
アドニスとヴィクターの試合は、ヴィクターのセコンドであり父親であるイワンがタオルを投げて決着しました。
試合そのものは、圧倒的にヴィクターの方がダウンを奪っているし、地元であることからも判定に持ち込めばおそらく勝利します。
しかし、そうせずに「100%負け」で「ギブアップのサイン」である、タオルを投げ入れるのはなぜでしょうか。
そこには厳しい父親であり続けた、イワン自身の苦悩も見えてきます。