絶望に満ちた悲惨な人生、しかし彼女は一度失った神への信仰を取り戻し安らぎのうちに死にました。
例え罪を犯しても悔い改めれば、神は救ってくれるということを体現しています。
you come from God in Heaven(あなたは神が遣わした人)
引用:レ・ミゼラブル/配給会社:ユニバーサル・スタジオ
彼女の歌う上記の歌詞は、ジャン・バルジャンを上手く表しています。
神が遣わしたジャン・バルジャンにすべてを任せることは、神に身を委ねることと同じことなのです。
コゼットが示すもの
本作品のもう一人の主人公といえるコゼットは、祝福を受けた子供を示しています。
愛される人物
コゼットは、決して裕福な子供として生まれたのではありません。
しかし彼女は多くの愛に囲まれて育ちました。
幼少の頃に預けられたテナルディエの元でいじめられたのは、彼女の試練だったのかもしれません。
劇中では養父ジャン・バルジャン、母親ファンティーヌ、そして恋人マリウスなど多くの人に愛されます。
彼女の存在は、愛されることで他者に喜びを与える存在です。
神の祝福を受けた少女
彼女と対照的に登場するのが、テナルディエの娘エポニーヌではないでしょうか。
父親の愛もマリウスの愛も受けることが出来ません。
まるでライバル関係のように描かれた二人ですが、素直な少女コゼットの方は神の祝福を全身に受けるのです。
子どもは幸福になるべき
レ・ミゼラブルは激動の歴史の中で、過酷な人生を歩む人々を描いています。
そんな悲惨な世界に生まれ落ちたのがコゼットです。
彼女は、たくさんのものを失いました。愛・希望・家族・未来……。
しかし、たくさんの素晴らしいものをコゼットは与えられました。
彼女は無知と悲惨から生まれましたが、人々から祝福され愛され希望となり、そして未来を託されたのです。
悲惨な運命や絶望の底から、人を引きあげる力がコゼットにはあったのでしょう。
コゼットは神に祝福された未来を担う子供を体現しています。
「レ・ミゼラブル」な時代と人々
「レ・ミゼラブル」は150年以上も前の物語が元になっていますが、いまもなお物語は色あせません。
私たちは現代のジャン・バルジャンであり、ジャベールであり、ファンテーヌです。
そしてもちろん、コゼットでもあります。
観る者は彼らから多くのことを学ぶことが出来るでしょう。
最後に、原作者ヴィクトル・ユーゴーの言葉をご紹介します。
この映画を期に原作も読んでみると、さらに物語の理解に深みがでるかもしれません。
「地上に無知と悲惨とがある間は、本書のごとき性質の書物も、おそらく無益ではないだろう」
引用:レ・ミゼラブル/原作者:ヴィクトル・ユーゴー
「レ・ミゼラブル」はどう生きるかを問う作品
「レ・ミゼラブル」は西洋的な思考がふんだんに盛り込まれた作品です。
しかし日本人にとっても、学ぶべき点の多い作品ではないでしょうか。
他人を許す寛容な心が失われつつある今、この作品は多くの人に観てもらいたい映画といえます。