アキ自身は傷つけられたわけではありませんが、これは真木が体験したことの擬似的な追体験でしょう。

真木の教えを一番愚直に受け継いだ厚成こそが一番仁義に厚い男だったことが示されています。

また、そんな厚成が半殺しの目に遭ったのを受けて福岡連合はきっちり落とし前をつけ無念を晴らします。

正樹と厚成、最高のツートップの友情が非常に美しい形で結実した瞬間ではないでしょうか。

糸島連合との結託

団結力が高まった話

そして二つ目が拳を交えてお互いに良きライバルにして認め合う存在だった糸島連合との結託です。

半殺しにされた厚成の仇討ちと仲間を殺された糸島連合の復讐とがラストで共通の敵という形で一致しました。

この壮大な連合同士の結託こそが本作最大の見所にして、スケールの大きさを感じさせる所以です。

アキの妊娠は結果として福岡連合のみならず糸島連合をも動かす遠因になりました。

この敵味方を超えての団結こそ不良文化の見所であり、最大の格好良さとして映っています。

福岡統一へ

そして大八が成し遂げられなかった福岡統一を遂に福岡連合が成し遂げることが出来たのです。

正樹と忠次のタイマンがその頂上対決として描かれており、アクションも最高の見所となっています。

正樹が真の総長になれたのは正にそうした仲間達の想いを受け継ぎ戦ったこの瞬間でした。

守るべきものの存在こそが人を強くするという王道に忠実であり、尚且つもう一つの意味があります。

それはアキだけではなくアキが身ごもった赤ん坊という新しい命をも守っていたことです。

アキの妊娠はそれだけ意義深いものとして象徴的に物語の中で描かれ、二人を最強に押し上げました。

信念を貫く者

信念を貫く(新潮新書)

こうして見ていくと、本作で描かれた不良とは「信念を貫く者」でありました。

そしてその信念を与えてくれたのは真木と大八という尊敬すべき二人の恩師だったのです。

不良というとどうしてもツッパリだったのバイクだの暴走族だったのといった表面上の記号が目立ちます。

しかしそれらに血を通わせているのは守るべき者や己の信念といった「想い」なのです。

その想いの継承こそ本作が一番大事にしていた不良の根幹なのではないでしょうか。

まとめ

デメキン

いかがでしたでしょうか?

本作は実話を基にしていたとはいえ、不良文化を正当な形で再現することに成功しました。

単なるイケメン役者を揃えただけの平板な作品とせず、血の通った濃い人間関係とドラマが格好いいのです。

そして何よりその生き様を体現してきた実際の佐田正樹こそが一番の魅力ではないでしょうか。

単純に格好いい不良漫画や映画は幾らでもありますし、格好いい役者だけの作品なら幾らでもあります。

でも本作最大の魅力は何よりも佐田正樹を中心とした福岡連合の不良達の泥臭い直球の生き様です。

本作が頭一つ抜けて素晴らしいのは正にその「生き様」であり、名作として残り続けていく所以となるでしょう。