ウィリアムはアデラインを待ち続けるのではなく、自分を見てくれる女性を愛することを選びました。
その選択は彼の人生を前進させ、結果、キャシーと共に幸せな時間を過ごすに至ったのです。
選択の肯定
ウィリアムの結婚は、実はアデラインにとっても結果的に大きな意味を持つものとなりました。
なぜなら彼がキャシーと結婚しなければ息子のエリスは生まれず、アデラインと出会うこともなかったためです。
ウィリアムとキャシーが温かで幸福な家庭で子どもたちを育てたことも重要です。
エリスと出会っていなければ、アデラインが孤独の淵から救いだされることはなかったでしょう。
ウィリアムが人生を前進するためにした選択が、主人公アデラインに幸福をもたらすことになったのです。
フレミングがアデラインの背中を押した理由
アデラインの娘フレミングは、母親が誰かと恋をすることを強く望んでいました。
彼女はなぜそこまでアデラインの背中を押していたのでしょうか。
自分の老いを感じていた
フレミングはアデラインと違い、普通に年を重ねてきました。
見た目だけだと、2人はもはや母と娘ではなく孫娘と祖母に見えてしまいます。
自らの老いを感じていたフレミングは、自分が死んだあとアデラインが孤独に残されることを怖れていました。
母の幸せな姿を見たい
フレミングの父親は彼女が幼いときに亡くなっています。
そのため、フレミングは母が誰かと愛し合っている姿を見たことがありません。
彼女が高校生の頃に離れて暮らすようになってから、流浪するアデラインの孤独を誰よりも知っていたのもフレミングです。
フレミングは愛する母親の幸せな姿をこの目で見たいと望んでいたのでしょう。
生きることは変化をすること
時間が止まってしまったアデラインの孤独と再び人を愛そうとする勇気は、わたしたちに大切なことを伝えてくれます。
それは、変化しながら生きていくことの大切さ。
そして、いずれ失うときがきたとしても愛を選ぶ尊さです。
時間は前進あるのみ。進んだ時計の針が止まったり巻き戻ったりすることはありません。
であれば人生もまた、常に前に向かって変化していくべきなのです。
変化とは時に恐ろしいものです。
しかしその恐怖に打ち勝ったとき、人は彗星のように輝く人生の醍醐味を味わうことができるのではないでしょうか。