ニコラスはまっすぐすぎるほど正義感の強いキャラクターです。
それゆえ、融通が利かないという一面がありロンドン市警の仲間たちからも疎まれていたのでしょう。
しかし、正義というものは必ずしもルールを守っていれば報われるというものではありません。
ダニーと出会い親しくなったことで、ニコラスの中での正義の真意は少しずつ変化していったのです。
1人で貫く強さ
ニコラスはルールに厳しいゆえに1人でなんでも行動する部分があります。
もちろん自分の手の届かないところは仲間の強力も仰ぎますが、頭の固い彼の正義はゆるいサンドフォードでは理解されませんでした。
理解されないならされないで、1人で行動するのがニコラスの強さです。
自分の正義のために自分で動く、これがサンドフォードに来た段階での彼の正義の在り方だったのでしょう。
ルールから外れたところにある正義
正義の真意の新たな一面を教えてくれたのは、ダニーの映画コレクションです。
ド派手なアクションが魅力の映画の中には、正義のために戦うハチャメチャな警察官たちの姿が描かれていました。
ダニーとの付き合いから始まった映画鑑賞ではあるものの、これらはニコラスに新たな正義の在り方を教えたのでしょう。
あんたはいい刑事だ
ただ切り替えを覚えなきゃ、頭が固すぎるよ
引用:ホット・ファズ‐俺たちスーパーポリスメン‐/配給会社:ギャガ・コミュニケーションズ
ダニーが言った通り、自分の正義は仲間たちに通じない、ルールに則ったやり方ではダメだ!
そう実感したニコラスは、押収した武器を手に新たな正義の真髄を見出したのです。
映画への愛を感じるオマージュ
作中では「ハートブルー」や「バッドボーイズ 2バッド」など、刑事を中心とした人気映画が多数登場。
アクション映画の伏線が飛びまくりストーリー後半への期待が膨らむ中、さりげなくカメオ出演している映画監督たちもポイント。
サム・ライミやピーター・ジャクソンなどの姿をチラ見せすることで、どの映画の1シーンを持ってくるのかを意識してしまいます。
幕を開けたアクションシーンは、自警団のメンバーを次から次へと撃退していくものの、結果を見てみれば死者0という奇跡の結末。
あれだけ人を殺しておいてお咎めなしはおかしいよ
引用:ホット・ファズ‐俺たちスーパーポリスメン‐/配給会社:ギャガ・コミュニケーションズ
というニコラスのセリフに具体性を持たせるかのごとく、多くの映画を参考にしながらもエドガー・ライトの世界をきっちりと確立。
前作に引き続き、なんともエドガーらしい結末で自分の作品への愛情と魅力をしっかりと伝えているのです。
リバイバル公開の声も多いブラック・コメディ
『ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン-』は、イギリス映画として異例のヒットを記録した作品です。
「ショーン・オブ・ザ・デッド」に続きサイモンとニックのコンビを印象付け、エドガー・ライト監督の存在を盤石なものとしました。
映画ファンからの支持も多く、2020年7月10日からはリバイバル作品として劇場公開も決定。
本当に愛される作品といういのは、時代を超えて映画館で観る価値があると感じさせてくれるものなのでしょう。