自分の父親と上手くいかず別れたことも知っているので、あやこの母親孝子が来たくても来れないという所まで理解していたのかもしれません。
その母親の代理としてきたあやこ、美穂が頷いたのは運命が違わなければ妹になっていた彼女を受け入れたことを示してます。
あやこの気持ちを理解していた
女子高校生がどんな思いで、会ったこともない父親に会いに来たのか美穂はあやこの心中を理解していたのでしょう。
だからこそ、ためらいなく頷き父の元へ案内したのかもしれません。
私達もいたし
引用:最低/配給会社:KADOKAWA
美穂のこの言葉を深く考察すると、昔はAVをやっていた孝子を嫌っていたのかもしれません。
だから孝子は顔を出すことが出来なかったのです。
しかし、自分がAVに出演したことで孝子の気持ちを理解出来るようになり彼女の娘あやこを受け入れることが出来たのでしょう。
最低なのは今の自分
本作品のタイトルになった「最低」とはいったい何を指すものなのでしょう。
おそらく登場した女性たちの今の心境だったのではないでしょうか。
流されるようにAV業界に入り、家族に辛い思いをさせていた綾乃。
美穂は、自分に振り向いて欲しいという欲求から無理矢理AV業界へ飛び込みました。
あやこは母親がAVに出演していたことで、周囲からのいじめに苦しんでいます。
そしてあやこの母親孝子もまた、AVに出演したことを悔やんでいたのかもしれません。
彼女達は、そんな自分たちのことを「最低」と思っていたのでしょう。
私は生きる
全てが今壊れても
引用:最低/配給会社:KADOKAWA
キャッチコピー通り、彼女たちは最低の今を壊してもう一度生まれ変わったのではないでしょうか。
等身大の女性を描いた作品
本作『最低』はどこにでもいる等身大の女性を描いています。
使用している音楽もほとんどなく、見事に敷かれた伏線や淡々と描かれる日常がリアル感を演出していました。
それぞれの理由を抱えた3人が、AVというツールを使用し堕落にも似た自己観察を行っていたのではないでしょうか。
AVというツールが、家族の愛に気づかせ素直に生きることを選択させたのかもしれません。
一度最低だと思う経験をした彼女たちは、これから自分らしく強く生きていくことでしょう。