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映画『神様はバリにいる』は2015年1月17日に公開された、バリ島の大富豪をモデルにした作品です。
監督は『デトロイト・メタル・シティ』の李闘士男、主演のアニキを堤真一が演じます。
物語は独自の人生哲学を持つバリ島のアニキが周囲の人々の人生を変えていく人情コメディーです。
バリに住む日本人達の破天荒ながらも人生の真理を突いた物語は色々なメッセージを伝えてくれます。
本稿では帰国した祥子がアニキのことを本にさせてと頼んだ真意を考察していきましょう。
また、アニキが祥子に掃除の仕事を命じた理由や子供達に運動靴をプレゼントした理由も見ていきます。
バリのアニキ
お金持ちを勉強したことがある人は「バリのアニキ」の名を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
現在はご自身のYouTubeチャンネルも開設してお金持ちになる方法や独自のビジネス論も展開しています。
本作ではそのバリのアニキを堤真一が絶妙なガタイと演技力で余すところなく演じて下さいました。
また、その堤真一に当たり負けしない尾野真千子や玉木宏などが居ることで物語世界に重みが生まれます。
そんなアニキの人生哲学が受け手に何を伝えてくれるのかをじっくり掘り下げていきましょう。
本にさせてと頼んだ真意
本作のラストでは祥子がバリのアニキに「本にさせて」と頼み実際に本を出版して成功しました。
800万円の小切手で借金を帳消しに出来た筈なのに、それを蹴ってまで出版した真意を見ていきましょう。
大事なのは“お金”ではなく“人”
祥子がアニキから教わったことは人生において大事なのは“お金”ではなく”人”ということでした。
特にそのターニングポイントとなったのは彼女がアニキの仕事場で働く人達の姿を見たときです。
ここでアニキがホテル・ヴィラ・馬車など多くの事業に投資し、幼稚園建設も夢見ていることを知ります。
即ちアニキが大富豪である所以は「お金稼ぎ」ではなく「社会貢献」にあることを学んだのです。
お金とはあくまでも事業を通じた社会貢献を実現するための手段・道具でしかありません。
そのことをバリのアニキの傍で教わったからこそ祥子は800万の小切手を断ったのです。
祥子なりの社会貢献
そしてバリのアニキから社会貢献のエッセンスを教わった祥子は自分なりの社会貢献を考えたのでしょう。
その最初の一歩が自分の人生を救ってくれたバリのアニキを本として出版し、広めることでした。
何故本の出版なのかというと、祥子自身が人と人を繋ぐことが好きだからと考えられます。
序盤では事業に失敗したとはいえ、そのやっていた仕事は男女を結婚まで繋げる仕事です。
だからこそ今度は本を通してバリのアニキと日本人を繋げようとしたのではないでしょうか。
それこそが祥子がバリのアニキに対する感謝の表れだったと窺えます。
人生の再起
本作を祥子の物語として見ると、あくまでも彼女が人生の再起を志すまでの物語だと分かります。