ネルソンは常に自分が突っ込むというよりは、空爆任せで、タリバン勢力に近づくのは座標を詳しく知りたいから。
一方ドスタム将軍は、武装した相手に騎馬隊で自分が突っ込む、さながら戦国時代のような将軍です。
己に正直でないとここでは勝てん。血を流さず勝つ気だろ
引用:ホース・ソルジャー/配給会社:ワーナーブラザース
ドスタム将軍は、そもそもアメリカ兵を信用していません。アフガニスタンでは、味方だと思っていても数週間で立場が変わるからです。
だからこそ、ネルソンとの別れ際にも、次は敵かもしれないという言葉を投げかけます。
相手を信用せず、常に疑心暗鬼。つまり、ネルソン以上にドスタム将軍は相手を注意深く観察していたのです。
そうすると、実戦経験のないネルソンの様子が分かってきました。だからこそ、ネルソンの実践のなさを見抜くのです。
死を経験しているかどうかの差
ネルソンの実戦経験を見抜かれた時、周りにいたスペンサーなどの兵士を、ドスタム将軍は「人を殺した目」と認めていました。
人を殺した目だ
引用:ホース・ソルジャー/配給会社:ワーナーブラザース
ネルソンが初めて人を撃ち殺したとき、ドスタム将軍はこう言ってネルソンの肩を叩きます。
やはりドスタム将軍には、目の違いが分かるのです。だからこそ、この戦争の後少しずつ両者は歩み寄るのでした。
人生経験でも圧倒的な違い
本作では、ドスタム将軍という「戦士」とそれに教えられるネルソンという図が出来上がっています。
この差は何かというと、軍事的またはそれ以外の経験の違いだと言えるでしょう。
部下の死だって悲しい。器の違い
ネルソンはドスタム将軍の非効率な戦い方を嫌います。しかし、そう思っていることでさえ、ドスタム将軍は見透かしていました。
君らは空を制しているが、戦争は土の上で決まる。補給線は知ってたが、戦車は想定外だった。
死んだ参謀は名付け子だ。部下を失うたび、心がひと刺しされる。私の心はズタズタだ。犬死させてると思うなよ
引用:ホース・ソルジャー/配給会社:ワーナーブラザース
これは、騎馬隊で突っ込んだところ、思わぬ敵戦車の登場のシーン後の会話で聞かれた言葉です。
「犬死させてるとおもうなよ」これを誰に言ったかというと、ネルソンに向かって。
つまりドスタム将軍は、ネルソンの気持ちを察しているのです。その点、ネルソンはドスタム将軍への不信感ばかり募らせていました。
器の大きさ。この違いがここで大きく出ていましたが、それは冒頭のネルソンを見抜くシーンから始まっていたのです。
ドスタム将軍は統治者だった
べシャームを侵攻・奪還したとき、ドスタム将軍が自分の過去を語ります。
私がベシャームを治めていたころは良い時代だった
引用:ホース・ソルジャー/配給会社:ワーナーブラザース
この言葉に続いて、統治者時代の村の様子やラザンが攻めてきたときの過去を語りました。
つまりドスタム将軍は、小さいながらも統治者だったのです。
統治者としての視点を併せ持った人生経験豊富な人物と、実践が初めての人物。どう考えても、ネルソンに軍配は上がりません。
だからこそ、ドスタム将軍にはネルソンのすべてが見えるのです。
「経験するものじゃない」
ドスタム将軍は家族がラザンに殺されています。
一方ネルソンは帰るところがあるし、ドスタム将軍は自分のような経験をすべきでないと語りました。
この身近で愛する人の死を見ており、自分がその世界に今は「殺す側」として存在しています。