選ぶ頂が違っただけで二人とも悩み抜いて自分の登る自分自身の頂を選んだのです。
それぞれ幸せの形は違いましたが、決して後悔しない箇所にたどり着いた部分は同じです。
二人のさらに10年後、20年後の姿を思わず想像したくなります。
ジョーの選択
人は一生の中で様々な岐路に立って、その都度いずれかの道を選ばなくてはいけません。
ジョーにとっても大きな人生の岐路が目の前にあり、いずれかの道を選ばなくてはなりませんでした。
ジョーにとっての人生の岐路
ジョーにとっての人生の岐路はローリーのプロポーズを断ったことと受け止められがちですが、そうとも言い切れません。
彼女の本当の人生の岐路は作家になってからでした。
自己の作品の経済的な成功のために自分を偽る売文家にならず、自費出版しても自分が納得のいく作品を世に問うことを決意したことです。
確かにローリーと結婚するかどうかはジョーの人生にとって大きな分かれ道ではありました。
でも彼女はたとえ結婚しても小説家を諦めることはなかったはずです。
物語の中でジョーは「結婚したら人生が終わる!」と叫びますが、彼女の本性からしてそこで終わってしまうはずはありません。
売文家か作家か
ローリーと別れたジョーはニューヨークに出て小説家を目指しますが、夢を抱いて都会に出る多くの地方出身の野望家と同じ道をたどります。
現実という壁にぶち当たり妥協の道を模索し始めることになったのです。
しかし結局彼女が自分の本当に求める道は単に売れることではなくて表現者として妥協しないことだと悟ります。
それは、姉妹達が一般的な型にはまった幸せの形にこだわらず、それぞれ自分の幸せの形を見つけていることを知ったためでした。
彼女は決して結婚しなかったのではなく小説と結婚したのです。
女性にとって結婚とは
女性にとっての結婚は男性にとってのそれとは次元が異なる意味がありました。
もちろん現代社会においてはその差は徐々に無くなりつつあります。
しかし、未だに女性にとっての結婚は姓が変わるだけでなく自分自身の人生の行く末を大きく左右します。
結婚も一つの選択肢
この物語では女性にとっての結婚は非常に大きなテーマです。
メリル・ストリープ演じる叔母は「女にとっての幸せは結婚しかない!」と言い切ります。
このテーゼに対して四姉妹達はそれぞれの形でアンチテーゼに悩み、最終的にそれぞれのジンテーゼにたどり着きます。
結婚の道を選んだメグやエイミーも「結婚しかない」ではなくて「結婚こそ自分の道」という選択をしました。
女性は結婚することが当たり前と思考停止に陥ってはいけません。
結婚も一つの選択肢であり結婚による幸せの形にも様々あることを教えてくれる作品です。
恋愛と結婚
ジョーは恐らくこれから小説以外と結婚することはありませんが、恋愛はしていくと思われます。
恋愛は女性だけなく男性にとっても(恐らく女性の方がその比重は大きいと思われますが)人生を豊かにする必須の要素だからです。
ジョーにとってローリーとの恋愛は彼女の小説家としての熟度をより深めることにつながったはずです。
ただし現代社会においてはこの物語の時代のように結婚に対する硬直的な考え方は次第に変わりつつあるともいえます。
結婚をあまり制約的に考えず恋愛の延長線上に位置づけ、自由に結婚と離婚を繰り返す形もなくはありません。
女性にとってお金(経済力)とは
経済的問題こそが女性の自立を妨げているといわれることがあります。