女性が経済力を持ちにくいから経済力のある男性に頼らざるを得ず結婚の道を選択するのだという考え方ですが、果たしてそうでしょうか。
確かに四姉妹が生きた時代は女性が社会に出て稼ぐことは現代より困難でした。でも不可能ではなかったはずです。
「女性が社会に出て働くことなどあり得ない」という自分自身の決めつけの方が大きな要因だったかも知れません。
現代社会においては社会全体でそのような決めつけは皆無になっています。
むしろ経済力に関しては男女間にさほどの差を感じない人が増えています。
女性にとって仕事とは
現代では結婚して家庭に入り子供を産んで専業主婦として一生を終える女性は非常に少なくなっています。
多くの女性は独身時代にはほぼ皆何らかの仕事に就きますし、結婚後も仕事を続け育児が一段落したら仕事に復帰する女性も多くなっています。
しかしながら、現代においても女性にとって仕事と家庭、特に育児と両立させることはかなりの困難を伴います。
社会自体も徐々にではありますが変わりつつあります。
女性の持つ女性ならではの感受性や粘り強さなどは職場において非常に大きな戦力となることが認められつつあるからです。
この作品では残念ながら女性が仕事をするうえでの家庭や育児の関係までは描かれていません。
10年後ジョーが未婚の母となり、小説家と育児を両立させる姿を見てみたいものです。
表現者としての女性
ジョーの時代では女性が表現者として生きることは難しかった思われます。
でもこの物語を非常に特殊な女性を描いているだけと解釈するのは間違いです。
確かに小説家や芸術家としての才能は天賦のものがありますので、一般の人が容易に小説家や芸術家に成れるものではありません。
しかしながら会社で新しい企画を立案したりキャンペーンをデザインしたりする人も表現者と考えることはできます。
特に女性は男性にない表現者としての感受性を持っていると考えられます。
小説家でなくても日常の業務の中で自分が立案したものに対して妥協を迫られることがあります。
自分なりに心血を注いだ企画が上司の気まぐれな一言でボツになったり、修正を余儀なくされ涙を飲むことも少なくありません。
ジョーが最後に自費出版で自分の納得がいく作品の印刷が仕上がるのを見る場面があります。
この場面は多くの働く女性にとって少し溜飲が下がる思いがあるかも知れません。
この作品でもう少し自己主張を強くして安易に妥協しない自分になる勇気をもらった女性もいることでしょう。
「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」は幸せの形を追求する四姉妹の物語
「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」はそれぞれの幸せの形を追求する四姉妹の物語です。
レッテルが貼られた人生を生きるのではなく、自分で人生を選択することの重要性を思い知らされます。
流れのまま決めつけられた人生を生きることは、「選ばないことを選んだ」のだということに気づくべきです。
他の姉妹の生き様を見て本来の自己を取り戻すジョーの姿は、かく在りたいというグレタ監督自身の姿勢を伺わせます。
そしてそれはグレタ監督から現代女性に対する重要なメッセージだとも考えられます。