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映画『スノーデン』は2016年公開のエドワード・スノーデンを題材にした伝記映画です。
監督はオリバー・ストーン、主演はジョセフ・ゴードン=レヴィットが演じています。
助演もシャイリーン・ウッドリー、メレッサ・レオ、ザガリー・クイントという豪華布陣です。
本作は紆余曲折あり、企画の段階からかなり難航されたという逸話があります。
また、後半ではスノーデン本人が出演していることも大きな話題を呼びました。
物語は2013年にNSAによる国際的監視網を告発・暴露したスノーデンの自伝です。
アメリカをはじめ世界中を敵に回しかねないレベルの偉業に誰もが言葉を失うことでしょう。
本稿ではスノーデンが危険を冒してまで内部告発する狙いをじっくり考察していきましょう。
またアメリカが監視活動をする真の目的やてんかんの原因も深掘りしていきます。
英雄か犯罪者か
本作全体の特徴は「英雄か犯罪者か」というこのキャッチコピーに全て表現されています。
国家の機密情報を裏側から暴露する…確かに英雄とも犯罪者とも取れる行為です。
しかも恐ろしいのはこれがたった1人で行われた実話であるということではないでしょうか。
ネットワークが発達した今核戦争やテロ・内紛以上にサイバーテロの方が目に見えない分脅威です。
法の目を掻い潜って国家転覆にまで発展しかねなかった歴史的大事件でした。
本作はこの大事件から何を受け手に伝えてくれるのでしょうか?
危険を犯してまで内部告発する狙い
本作最大の見所にして考察の対象になるのはスノーデンが内部告発する狙いです。
何故彼は自身が国家を追われることを承知の上でこんなリスクを冒すのでしょうか?
劇中に描かれている彼の言動・行動からじっくり掘り下げていきましょう。
プライバシーの侵害への怒り
1番にあったのはNSAらが監視プログラムという形でプライバシーを侵害していたことへの怒りです。
今では大手の個人データを管理するシステムが出来るようになりました。
しかし、それは同時に個人情報を世界レベルで侵害していることになるのです。
それにも関わらず自分たちのやっていることは合法であると主張しているのが許せなかったのでしょう。
表向き善意を装いながらその実態は立場の弱い人々から奪い取ろうとする詐欺師と変わりません。
監視プログラムがやっていることの欺瞞をスノーデンは世に表明したかったのではないでしょうか。
政府への反感
2つ目にスノーデンにはCIA・NSAに所属していたときに味わったアメリカ合衆国政府への反感がありました。
彼が9.11以来愛国心に目覚めたのは有名な話ですが、その愛すべき国家が裏で汚いことをしていたのです。
特にアラブ系の銀行家を見つけるという任務や日本の横田基地に就任した時の日本監視がそうでしょう。
スノーデンはカメラを向けられる恐怖や膨大な個人のデータを監視する怖さから精神を疲弊させました。
そして決定打は電話のSIMハッキングを利用した仲介攻撃という卑劣な手段を厭わないやり口です。
ここで彼は腐敗した国家というどうしようもない残酷な現実を知ってしまい深い絶望に陥りました。