思えば作品全体を通してジャニスはシスターたちにも異端児扱いされていました。
そのような環境が自然とジャニスが孤立する状況を生んでしまったということでしょう。
状況が悪くなったら我が身可愛さに責任逃れをしようとするのはどこの国も同じだということが窺えます。
サミュエルが孤児を引き取った理由
本作のラストがあのような結末になったのはサミュエルが6人の孤児を引き取ったことが原因です。
ここで気になるのは何故サミュエルが孤児を引き取ったのか、という理由ではないでしょうか?
その理由をここではしっかり掘り下げていきます。
交通事故で娘を亡くした
最初に挙げられるのはサミュエルが娘のビーを交通事故で亡くしたことです。
その行き場のない悲しい思いがサミュエルを動かしたのではないでしょうか。
二度と娘のような悲惨な死者を生み出したくないという思いがあったことと思われます。
だからサミュエル夫妻はシスターのシャーロットと6人の孤児を受け入れたのです。
この娘への無念の思いは物語の後半まで引きずる程に本作の作風に影を落します。
それ位サミュエル夫妻にとってショックな出来事だったのでしょう。
マイナス感情が引き寄せた悪運
しかし、本作においてはこの選択が物語として肯定されていません。
娘が死んだから孤児を引き取ったということは娘が生きていたら引き取る気はなかったことになります。
実際孤児達の父とは思えない程サミュエルの態度は基本的に無愛想で子供達に対しても冷淡です。
アナベル人形に纏わる悲劇のきっかけとなったのは確かに前述したジェニスでしょう。
しかし、そのジェニスと人形の呪いを引き寄せてしまったのはサミュエルのマイナス感情といえます。
後ろめたさから子供達への善意の行動を始めた時点でこのような悪運を引き寄せていたのではないでしょうか。
この親にしてこの子たちあり
そう考えていくと、シスターと少女たちもサミュエルのマイナス感情が引き寄せたのではないでしょうか。
ジェニスをはじめシスター達が封印を解かなければ、そもそもこのようなトラブルに発展しませんでした。
もっとも、神父を連れてきて対策を取ってもどうにもならない強い悪魔だったから仕方ないのですが。
そして前述したジェニスに全てを押しつけて臭いものに蓋をするかのような対策へと事態は拗れました。
正にこの親にしてこの子たちありという結末へ繋がったといえるでしょう。
妻の仮面の意味
物語の中盤で、サミュエルの妻エスターは奇妙な仮面を被っています。
果たして何故このような怪奇現象に見舞われたのでしょうか?
ここでは妻エスターが被っていた仮面の意味について考察していきましょう。
嘘から出た実
まずここで大事なことは孤児たちが、エスターが現われなかった日に噂をしていたことです。