即ちどこか尖っていて物々しい感じのきつい表情や言動はラストになると全部なくなっていました。

それは以前の自分への逆戻りではなく、痛みと引き換えに成長して強くなっていくことです。

成長とはこのように偽りの自分と本来の自分の往来を繰り返しながら階段を上ることかもしれません。

だからここで終わりではなくクリスティンの本当の旅は寧ろここから始まるのです。

教会へ行った理由

見るだけで心が清らかになる 世界の教会、寺院、礼拝所

クリスティンは避けて酔い潰れた翌朝、まるで吸い寄せられるかのように教会へ行きます。

ここでは何故彼女が教会へ行ったのかを考察していきましょう。

カトリック系だから

カトリック教会のカテキズム要約(コンペンディウム)

まず基本設定としてクリスティンはカトリック系の高校に通っており、聖書を読んでいました。

これは青春の痛さとかいうこととは別に自然に育んでいた要素ではないでしょうか。

クリスティンという名前自体もキリスト教徒を意味する“クリスティーヌ”が語源です。

即ちクリスティンは生まれてこの方キリスト教と縁の深い生き方をしていたのでしょう。

そのような経緯があるからこそ教会に惹かれたのではないでしょうか。

9.11やイラク戦争への手向け

2つ目に本作の舞台は9.11イラク戦争が起きていた2000年代初期です。

テロや戦争で実に多くの犠牲者をアメリカは出してしまったのです。

その犠牲者への手向けという側面も少なからずあったのではないでしょうか。

母がニューヨークの大学進学へ反対したのテロ・戦争を恐れたことも挙げられます。

それ位戦争というものがどれだけ恐ろしいかを伝えてくれているのです。

ここは物語の文脈からはやや外れたメタ的な作品としてのメッセージでしょう。

母性への目覚め

そして3つ目に本作がクリスティンの母性への目覚めを過程として描いているからです。

その為に処女喪失であるとかお酒の酔い潰れだとかいう痛みを経験します。

そういった経験・体験があって初めて人は成長するように出来てる生き物です。

即ち、クリスティンはやっと苦しみを抜け出して聖母マリアの元へ来たことを意味します。

そしてまた、ここから本当に強く優しい女性に成長していくのではないでしょうか。

母親に反発する理由

反発する子どもの心に届く親の言葉―親と子の上手な対話をつくる本 (成美文庫)

クリスティンは劇中ずっとレディ・バードという偽名を名乗って母に反発し続けました。

時には車から飛び出たり、挙句停学処分を食らって大喧嘩したりと胃が痛くなる程です。

ここではクリスティンが母に反発する理由を考察していきましょう。

伸びようとする芽を遮る

まず母親の行動が軒並みクリスティンの伸びようとする芽を遮る行為だからです。

大学進学を中心として母の行動は全て娘の自己肯定感・自尊心を著しく傷つけます。

愛情が根本にあるとはいえ、母のやっていることは完全な独断専行です。

子供は自分のプライドや自尊心を傷つけられることを最も嫌います。

レディ・バードはそれに気づいていたからこそ反発したのです。

毒親の典型

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