自分の現実を何も知らないマイディーのセリフは、何の壁も無く暁の胸にしみ込んだのでしょう。
第三者視点から見た考えを知ったことで、暁は別の角度から娘の彼氏を見直すことができたのです。
蓋を開けてしまえば、妹と父親のことを考えた息子が適切なアドバイスをしただけのこと…
しかし、この時の暁に必要だったのは家族ではなく何も知らない第三者の意見だったのではないでしょうか。
時を経て果たされた約束
家族にとって仕事一筋で生きてきた父親ですが、実は元々ゲーム好きな一面がありました。
幼い息子と共にファイナルファンタジーをプレイした日々は、2人とってもいい思い出。
一緒にボスを倒そうという約束は果たされなかったものの、お互いの記憶にはしっかりと残っていたのです。
父親の病気を家族が知ったその日、入院するはずの父と息子が挑んだ「ツインタニア戦」。
1度のチャンスと挑んだバトルに勝利した時、明かした正体と共に10年以上の時を経て親子の約束も果たされたのです。
ブログからドラマ、そして映画へ
「ファイナルファンタジーXIV」は、2010年にリリースされた実在するオンラインゲームです。
プレステ4だけではなくPCやXboxなど幅広い機体から接続が可能で、多くのプレイヤーが集うゲームでもあります。
原作となったのは、プレイヤーの1人であるマイディーさんのブログ「一撃確殺SS日記」。
仕事を辞めた父への親孝行として贈ったゲーム機とソフトから始まるブログ内のコンテンツが、多くの人の心を震わせる物語となったのです。
ドラマ版との違いは
ドラマ版と映画版では登場人物の名前もキャストも変わっています。
父親役を演じた大杉漣氏がお亡くなりになったこともあり、映画版でのキャストが大幅に見直されたのかもしれません。
ストーリーも映画化にあたり、ドラマには登場しなかった主人公の妹が追加されています。
原作ブログに忠実ではあるものの、ドラマ版、映画版ではいろいろ異なる部分もあるので、見比べてみても面白いかもしれません。
ドラマとブログも見直したい
ブログには、映画に収まりきらなかった多くのストーリーが語られています。
手術後の光のお父さんのその後も読めるので、映画と合わせてチェックしてみてもいいでしょう。
監督のセンスが光る家族ドラマ
『劇場版ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』は、野口照夫監督のセンスが光るコミカルなヒューマンドラマです。
吉田鋼太郎氏のお父さんは、可愛い語尾や演技でコミカルなキャラクターになっているのが魅力。
大人から子供まで、誰が観ても楽しめるコメディファンタジーとなっていました。
笑いの中にも家庭や仕事問題を上手く絡めており、それぞれの問題もしっかりと解決。
バトルシーンをバランス良く入れることで、ゲームの面白さを伝えつつ中だるみの無いストーリー展開を楽しめたのもポイント。
現代の親子が抱えるコミュニケーション問題の解決法を、すばらしい映画を通して教えられた気がします。