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2007年に公開された『愛の流刑地』は、豊川悦司と寺島しのぶを主軸におき、男女二人の純愛を描いた作品です。
愛ルケの名で親しまれる本作は、渡辺純一の小説を元にドラマ化や映画化がされており、その人気を広めています。
小説家と人妻という不倫の愛において、冬香は何を得て死を選んだのか。
娘を殺した菊治を前に、母親はなぜ証言台に立ったのでしょう。
そして、手紙を読んだ菊治がつぶやいた言葉の意味を紐解いていきましょう。
真実の愛を探る展開は、女とはどんな生き物かを探る物語でもあるかのようです。
冬香が死を望んだわけ
菊治との甘い生活が進む中、冬香は死にたいという自分の欲求を抑えられなくなっていきます。
彼女はなぜ死を望んでいたのでしょう。
冬香は一人の女性として死にたかったから
夫に愛情を感じなくなっていった冬香ですが、それは菊治を心から愛していたからです。
劇中には子供を大切にする姿が描かれているように、彼女の生をギリギリまで支えていたのは子供達の存在だったのかもしれません。
しかし、子供を置いて出ていけといわれ支えを失った冬香は、母としてではなく一人の女性として死を選んだのでしょう。
罪の重さが大き過ぎたから
冬香の手紙に記されていましたが、家族を裏切る行為は彼女を疲弊させていました。
元々真面目な人物だったのです。
夫から関係を迫られた時、体を預けることが出来なかった彼女はもう後戻りできない程に罪を重ねたと悟ったのではないでしょうか。
彼女の罪は菊治を愛しすぎた罪です。
罪の大きさに、これ以上耐えることが出来ず死を選択したと考察出来ます。
菊治以外には自分を渡したくないから
夫からの要求を断った時点で、彼女は絶対に死ぬと覚悟を決めたのでしょう。
自分を菊治以外の人に渡したくなかったのではないでしょうか。
菊治が自分を愛していることを十分に知っていたからこそ、自分の命を差し出すことが出来たのです。
彼女が望む通りにしてやりたかった
引用:愛の流刑地/配給会社:東宝
菊治はそんな彼女の想いをしっかりと受け取っています。
地上に降りれない程幸せだったから
結婚や出産を経て、菊治との愛に溺れた彼女は全てを手にした女性ともいえます。
彼女は全てを成し遂げたからこそ死を選んだのかもしれません。
冬香が二人の子供と例えた菊治の小説も完成し、彼女は望む愛の全てを手に入れたのです。
幸せの中舞い上がり、もう現実へは戻れない状況でした。
もし彼女が本当の愛を知らなかったら、離婚をして家を出ただけかもしれません。
後悔がないからこそ、死を選びその死に場所として愛する菊治の腕の中を選んだのでしょう。