そこで同社はMCUの許可を得て自社配給作『スパイダーマン:スパイダーバース』の公開前映像を流したはずです。
MCUもヴェノムの次回作でソニーの一層の協力を引き出すべく、このソニーからの申し出を快諾したのではないでしょうか。
ヴェノムのキャラ誕生秘話
ヴェノムについてよく知るには、まずその誕生秘話を探る必要があります。
始まりはスパイダーマンが捨てたブラックスーツから
スパイダーマンの宿敵・ヴェノムの生みの親はコミックライターとして有名なトッド・マクファーレンです。
マクファーレンは当時『スパイダーマン』の担当をしていた際、ブラックスーツに違和感を感じて現在の赤と青のスーツに変更したそうです。
物語上スパイダーマンはブラックスーツで強化されますが、その邪悪な性質ゆえに破棄します。ヴェノムはその捨てられた服から生まれたました。
スーパーヒーローの捨てたごみから生まれたとも取れる誕生秘話はまさにヴェノムらしいといえるでしょう。
スパイダーマン史上・最大のライバルの誕生
ヴェノムが第二のスパイダーマンといわれるのは、先述したアメコミ原作の誕生の仕方ゆえのことでしょう。
ブラックスーツはシンビオート(共生体)として生きており、同様にスパイダーマンに強い憎しみを持つエディに寄生してヴェノムとなりました。
最初はスパイダーマンの敵でしたが、共通の凶悪な敵・カーネイジが現れたことで関係性が変化。以降は競い合う良きライバルになりました。
またヴェノムは最初スパイダーマンに寄生していました。そのため映画『ヴェノム』の中でもスパイダーマンの能力を使うシーンがいくつか見られます。
シンビオートとは何なのか
ヴェノムをさらによく知るには、シンビオートへの理解が欠かせません。簡単に見てゆきましょう。
シンビオートとは地球外生命体であり、寄生生物として常に宿主を探しています。原作ではスパイダーマンに寄生して地球にやって来ました。
一見パラサイトや伝染病のように思えますが、それらとは根本的に異なります。
その最たる特徴は寄生して宿主の能力を吸収するばかりか、別の宿主に寄生すると以前の宿主のコピー能力も引き継ぐというもの。
つまり寄生を繰り返すことによって、その能力を高め多様化してゆけるのです。ヴェノムはこのシンビオートから生まれた1生命体に過ぎません。
本作にも女性版ヴェノムであるシーヴェノムやライオットといったシンビオートを元にした化け物が登場します。
ヴェノムに込められた社会的なメッセージ
映画『ヴェノム』はただのアメコミ・アクション映画ではありません。深く見ればその根底には現代社会をも貫くメッセージ性があるのです。
足りない部分を補いあう2人
エディは社会の闇に切り込む記者です。作中でも製薬事業のために弱者を人体実験に利用した疑いがかかるライフ財団のドレイクに挑みます。
そんなエディにシンビオートが寄生した事でヴェノムが誕生しました。一見すると理想家のエディと野蛮な地球外生命体はミスマッチです。
しかし何事にも弱気だったエディは寄生したヴェノムの豪快さを気に入ります。反対にヴェノムはエディの心優しさに惹かれてゆきました。
そうして人と化け物の摩訶不思議な融合体ができあがったのです。エディとヴェノムはお互いに足りない部分を補い合う関係だといえます。
それはまさに友情であり、その意味で『ヴェノム』は一種のバディ・ムービーだともいえるでしょう。
似たもの同士ではなく真逆の2人の見せた友情は、多様性が求められる現代社会において理想的な人間関係ではないでしょうか。
分断を乗り越えて
アメリカを始め世界中で政治性や人種間の分断が叫ばれる今、エディとヴェノムは違う者同士が歩み寄ることの大切さを訴えてきます。