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中村文則の同名小説が元になった『悪と仮面のルール』は、2018年に公開されました。
邪として育てられるという人間の狂気を描いた作品ですが、愛という名の執着心が根底に流れる作品のようにも感じます。
劇中で文宏がいい残した「生きていきます」という言葉にはどんな真意が隠されていたのでしょう。
また伊藤や文宏が流した涙の理由も考察していきます。
JLは一体何を目的にしていたのか、久喜家の呪いともいえる邪を徹底考察していきましょう。
「生きていきます」と答えた真意
劇中で「生きていく」と答えた玉木宏演じる久喜文宏は、どんな思いでこのセリフを口にしたのでしょう。
「死」を恐れない久喜家の人間だからこそ「生きる」という言葉には大きな意味が込められているのではないでしょうか。
持ち続けたい記憶があるから
不幸な人生を歩んできた文宏ですが、新木優子演じる香織との記憶はとても幸せなものです。
忘れたくない記憶であり、失いたくない記憶といえるでしょう。
下記のセリフでも彼女との幸せな記憶を持ち続けたいという、文宏の心の内が垣間見えています。
生きたいのは、消したくない記憶があるからかもしれない
引用:悪と仮面のルール/配給会社:ファントム・フィルム
彼は香織との記憶をずっと心に持っていたいから、生き続けていこうと思ったのでしょう。
自分は不幸だったのか確かめたいから
文宏は伊藤に対して生きることを薦めていますが、自身は何度も死ぬことを考えています。
しかし、彼はこれまでの人生の中で最後まで生きて初めて自分の結末が見えると悟ったようです。
幸福だったか不幸だったか、寿命や病気で死ぬまでわからない
引用:悪と仮面のルール/配給会社:ファントム・フィルム
整形をし生まれ変わることで、第二の人生を歩み始めた文宏は久喜家という呪いから解放されたのかもしれません。
世界には自分が幸せになれる場所がある、ということを知ったのではないでしょうか。
自分の人生が不幸だったのか否か、しっかりと見定めようとしたのでしょう。
香織の言葉があったから
香織は文宏が生きていることが、自分の支えだといっています。
愛する香織の言葉が彼の生きる力となったのかもしれません。
一緒になることは出来ないけれど、お互いに生きてることで心の支えになるはずです。
原作では恭子と共に新たな世界を生きる
原作小説の中では、お金で買った女性恭子と海外へ行く場面でラストを迎えています。
香織を愛したことも、久喜家の呪いの一つだったとも考察出来ます。
彼女を守る理由がなくなったことで、文宏は自由になったとも取れるのです。
原作には日本へ帰国後に自首するというセリフも付いており、罪を償う覚悟もしていました。
文宏は自分本来の人生を歩みだすために、生きていくという決意を言葉にしたのではないでしょうか。