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映画【猿の惑星:創世記】は猿の惑星新シリーズの第一作目です。
なぜ地球が猿の惑星となってしまったのか、オリジナルの猿の惑星へとつながる重要な謎が解き明かされます。
オリジナルの猿の惑星に出てくる猿や宇宙船、自由の女神などの伏線も至る所に張り巡らされていて飽きません。
昔オリジナルの猿の惑星を見た人には興味が尽きない作品といえるでしょう。
特撮技術も素晴らしく、特に猿の目の表情などは人間そのものです。
人類の滅亡を予感させるエンディングには恐怖すら覚えますが、創世記の名にふさわしくシーザーたちのこれからにも興味が尽きない作品でもあります。
二つのエンディング
この作品にはエンディングが二つあります。一つ目のエンディングで終わっても不自然さはないのですが、衝撃的な二つ目のエンディングは心憎い演出です。
終わってみればこの二つのエンディングは必然と思えてきます。この二つのエンディングの意味を詳しく見てみましょう。
始めのエンディング
始めのエンディングは家に帰ろうというウィルの誘いをシーザーが拒絶し、ここが自分の家だといってアメリカ杉に登る場面で終わります。
アメリカ杉の上からゴールデン・ゲート・ブリッジ越しに、それまで過ごしたサンフランシスコの市街を見通すシーザーは何を考えていたのでしょうか。
シーザーはそれまでの人間、特にウィルとの暮らしに別れを告げ、これから始まる猿たちのコミュニティづくりに思いをはせていたのです。
ここでゴールデン・ゲート・ブリッジは人間社会と猿社会の境界線のような重要な役割を果たしているのではないでしょうか。
ただ、ここで終わってしまっては、これだけの猿の集団で圧倒的な軍事力と数を誇る人類との戦いにはとても対応できそうもない心もとさが残ります。
このままでは猿の惑星の創世記にはなりそうもないと思えるのです。
本当のエンディング
本当のエンディングは見事です。ただ世界中に伸びる航空路線が描かれるだけなのですが、これが人類の滅亡を予感させています。
ウィルの同僚が実験中に感染したウィルスは猿には知力を向上させる画期的な効果を示しますが、人間にとっては死に至らしめる恐ろしいウィルスでした。
ウィルの同僚がチョットした弾みに感染させてしまったウィルのお隣さんはパイロットでした。このウィルスは飛沫感染又は空気感染するのです。
空港でパイロットが鼻血を出すシーンとそれに続く航空路線の映像は、言葉による一切の説明がありません。
ぞれだけでパンデミックに襲われる人類の未来を表現しています。
このエンディングが始めのエンディングとセットになることによって、地球の主が人類から猿へと変わる必然性が見えてくるのです。
猿の惑星創世記の意味がこの時点で我々にすんなり入ってきます。
ウィルの迎えを拒絶したシーザー
シーザーは二回にわたってウィルからの「一緒に家に帰ろう」という申し出を拒絶します。
一回目の拒絶と二回目の拒絶はシーザーにとって全く意味が異なりました。
一回目の拒絶
一回目の拒絶はシーザーが霊長類保護施設に収容されていた時です。