しかも終盤で陽介の体力が低下して絶望的な状況に陥っても結婚式までやり遂げました。
単に上辺だけで励ますのではなく、持ち前の行動力で具体的に愛を形にしたのです。
陽介もそんな佳奈美の励ましを受けて、徐々に態度が柔らかく優しいものになりました。
正に言葉が意識に繋がり、意識が行動へと繋がっていったことが窺えます。
「どう生きるか」が大切
佳奈美の中にあったのは「どう生きるか」だったのではないでしょうか。
陽介が死ぬ運命は変えられず、結婚こそしたものの1ヶ月半しか夫婦では居られませんでした。
しかし、佳奈美にとって大事なのは人生の「長さ」ではなく「質」だったのです。
そのこだわりが実を結び、陽介は遂に佳奈美に向かって宣言してくれました。
泣いている暇なんてないくらいたくさん思い出を作ろう
引用:泣き虫ピエロの結婚式/配給会社:スールキートス
この台詞をいわせた時点で佳奈美は陽介を笑顔にすることに成功したのです。
だからこそ最期の陽介の寝顔も非常に心安らかなものとなりました。
病気を隠していた理由
陽介は佳奈美の励ましの甲斐あって、幸せな人生を送ることが出来ました。
しかし、最初からそうだったわけではなく前半では病気を隠していました。
ここではその理由について読み解きましょう。
好きになっていた
まず1つ目に、陽介は不器用だけど天真爛漫な佳奈美に惹かれていたからです。
偽悪的な振る舞いが目立つ陽介ですが、一方でジャグリングの練習に付き合っていました。
怪我をしてもへこたれない佳奈美の度胸を認めて、怪我まで気にかけているのです。
言葉や態度とは裏腹に陽介は佳奈美が心底惹かれていたのでしょう。
しかし、好きだったからこそ中々病気のことを打ち明けられませんでした。
過去の女性歴
2つ目に、そんな陽介は病気に関する過去の女性歴があったからです。
イケメンで性格もいいので、女性からは兎に角モテやすいのが陽介でした。
しかし、病気のことを打ち明けて敢えて遠ざけていたため長続きしなかったのです。
その度に陽介はきっと心の奥底で嫌な思いをしていたのではないでしょうか。
だからこそ尚のこと、佳奈美を突き放すべきかどうか迷っていたのです。
懐に入られたくない
3つ目に、陽介は自分の心の中に入られたくなかったのではないでしょうか。
病気を打ち明けることは陽介にとって自身の恥・弱みを晒す行為に等しいのです。
人には多かれ少なかれ心の中にパーソナルスペースがあります。
佳奈美はそんな陽介のパーソナルスペースに容赦なく入り込んできました。
陽介にとってこれは経験したことがない衝撃だったことが推測されます。
しかし、その衝撃が彼の意識を大きく変えたことも事実でしょう。
ラストの指輪の意味
ラストシーンで陽介の葬儀を終えた佳奈美は鈴鹿医師から指輪を受け取りました。
その指輪はぶかぶかでしたが、彼女はあることに気付いて涙を流します。