出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07BG76YZN/?tag=cinema-notes-22
映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』は2016年公開のケネス・ロナーガン監督作品です。
主演をケイシー・アフレックが務め、製作にはマット・デイモンも携わっています。
脇をミシェル・ウィリアムズやカイル・チャンドラーが固め、非常に安定感のある作品となりました。
完成度も非常に高く数々の功績を残し、たとえば以下を受賞しています。
第89回アカデミー賞主演男優賞・脚本賞受賞
第70回英国アカデミー賞主演男優賞・オリジナル脚本賞受賞引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/マンチェスター・バイ・ザ・シー_(映画)
主人公リー・チャンドラーが兄の死をきっかけに故郷の町へと戻る所から物語は始まるのです。
マンチェスターで甥っ子の後見人となることを引き受けた彼には実は悲劇の過去がありました。
本稿ではジョーが遺言でリーを甥の後見人にした意図を考察していきましょう。
また、リーが再び便利屋に戻った理由や甥が二股をかける理由も併せて読み解きます。
過去を乗り越えること
本作におけるメインテーマは「過去を乗り越えること」にあります。
過去に何か大きなトラウマがあったとして、それは必ず克服しないといけないのでしょうか?
中にはずっと心の奥底に古傷として抱えたまま生きている人もいるかもしれません。
便利屋を営んでいるリー・チャンドラーは正にそのような人物として描かれています。
甥っ子パトリックの後見人に奮闘する彼の苦悩・葛藤がのしかかってくるのです。
「乗り越える」以外の過去との向き合い方を本題に沿ってじっくり考察していきましょう。
後見人にした意図
リー・チャンドラーは兄ジョーの遺言により甥っ子となるパトリックの後見人にされました。
図らずもリーは帰りたくなかった故郷へと戻っていくことになるのです。
果たしてジョーがリーを後見人に指名した意図は何でしょうか?
弟と甥の将来を考えていた
まず1つ目に、ジョーはリーとパトリックの将来を考えていたということです。
確かにリーに白羽の矢を立てたのはジョーの身勝手といえば身勝手かもしれません。
しかし、決して無責任ではなく2人の為の資金を準備していたのです。
弁護士を通してパトリックの養育費とリーの引っ越し代をこしらえていました。
外堀から埋めていくことによってリーに断りにくくしたというわけです。
ジョーの策士ぶりがこの辺りから窺えるのではないでしょうか。
他に適任が居なかった
2つ目にリー以外に適任者が居なかったことが挙げられます。
彼の元妻・ランディは家族を見捨てたので預けても信頼が出来ないのです。
しかし、ジョーの友人達は町の外にいる為にパトリックを町から切り離すことになります。
そうした諸々の事情を踏まえて他に適任が居なかったのではないでしょうか。
1番身近な肉親だったこともあり、リー以外に頼れる人は居ませんでした。
見解の不一致
そして3つ目に、実はここでジョーとリーの見解の不一致が示されているのです。
ジョーは遺言を残す際、事前にリーとパトリックに段取り・根回しをしておくべきでした。