出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B083V11N3L/cinema-notes-22
映画『EXIT イグジット』は韓国版『ダイハード』というべき2019年公開のパニック映画です。
監督はイ・サングン、主演にチョ・ジョンソクとイム・ユナを据えて制作されました。
元山岳サークルのエース・ヨンナムとその後輩のウィジュが再会する所から物語は始まります。
母の古希の祝賀パーティーで再会した2人はそこで毒ガステロに巻き込まれてしまうのです。
本格的なサバイバル活劇として描かれた本作は以下を受賞しました。
第40回青龍映画賞:新人監督賞・人気賞・技術賞
第28回釜日映画賞:人気女優賞
第20回今年の女性映画人賞:新人演技賞
第4回Asia Artist Awards:映画部門 ベストアーティスト賞
第18回大韓民国ファースト・ブランド大賞:映画女優賞引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/EXIT_イグジット_(2019年の映画)
本稿ではヨンナムとウィジュが学生の命を優先した正義をネタバレ込みで掘り下げます。
ドローンが2人の逃亡に与えた影響や雨に流された毒ガスの正体も併せて読み解きましょう。
降りるのではなく「登る」
本作の面白い特徴は降りるのではなく「登る」という構造になっているところです。
「ダイハード」をはじめとする高層ビル脱出映画はどう降りるかに焦点を当てます。
しかし、本作では「登る」ことを重視し、山岳部という設定が有効活用されているのです。
毒ガスが下から迫り来るという設定も中々類を見ないものでした。
しかも命綱なしで行っているのがこれまた凄まじいリアリティを生み出しています。
主演のチョ・ジョンソクとイム・ユナの2人が見事に体を張ってくれたお陰でしょう。
追い詰められていく山岳部の2人がどうなっていくのかを本題に沿って掘り下げていきます。
学生の命を優先した正義
本作の大きな見所の1つはヨンナムとウィジュが救助活動を行うところです。
あそこで2人は自分たちが助かろうと思えばその選択が出来ました。
しかし、そこで彼らは学生の命を優先するという決断を下したのです。
その正義には果たしてどのような意味があったのでしょうか?
屋上へ行けない
まず1つ目に、学生達が屋上まで上がることが出来ないという冷静な状況判断です。
学生たちがいたビルの部屋は鍵がかかっていて、屋上まで上ることは出来ませんでした。
すなわち、そのまま放置しておけば確実に死んでしまうという状況なのです。
その最悪の状況を避けたいからこそ、ヘリに学生達の救出を優先させたのでしょう。
また、ここで見捨ててしまえば2人が学生達を殺したと批判されかねません。
そういう状況を何が何でも避けたいが為に学生達の救出を優先したと分析出来ます。
防護服を着ていた
2つ目に、2人とも単なる善意だけではなく防護服を身につけていました。
有毒ガスが移っての死亡を避けられる余裕がヨンナムとウィジュにはあったのです。
逆にいえば、もし防護服がなかったら、判断を誤って自分たちを優先したかも知れません。
人を助ける前にまず自分の安全が確保されていないと成り立たないのです。
何事も事前のリスク回避は大事であり、安全を確保して初めて次に移ることが出来ます。
社会的弱者
そして3つ目に、ヨンナムもウィジュも社会的弱者であることが正義の源になっています。