ヨンナムは就活に失敗し家事手伝い、そしてウィジュが上司からセクハラを受けているのです。
現実の社会に疎まれたり差別されたりしているからこそ、2人は弱い人の気持ちが分かります。
残された学生達を見たとき、2人は自分たちとどこか重なって見えたのではないでしょうか。
ヨンナムもウィジュも決してスーパーヒーローではなく、等身大の若者なのです。
その「等身大の正義」こそが正にヨンナムとウィジュをしてこの決断をさせたことが窺えます。
ドローンが2人の逃亡に与えた影響
学生達を救出させた後、ドローンが2人の行方を追ってやってきました。
果たして、このドローンは何の為にやってきて、逃亡にどんな影響を与えたのでしょうか?
その意味をここでは読み解きます。
世間への報道
まず1つ目に、この脱走劇そのものを世間へ報道するという意味があります。
具体的にどういう状況になっているのかを正確に把握しなければなりません。
かといって、ヘリなどで迂闊に近づいていくことは危険なのです。
そこで、ドローンをカメラ付きで飛ばすことによって上手くそのリスクを回避出来ます。
元々軍事偵察用ということもありますが、こういう報道の形でも役に立つのです。
非常に賢い判断だといえるでしょう。
ロープを繋ぐ
2つ目に、ヨンナムはタワークレーンのあるビルへドローンを使ってロープを繋ぎました。
何故かというと2人のいたビルからタワークレーンのあるビルまで離れすぎていたからです。
これがあったからこそ、2人は命辛々逃げ延びて危機的状況から脱出を果たしました。
このアクションシーンはカメラワークといい、動きをよく捉えることが出来ています。
単なる状況説明のカメラのみではなく、アシストの小道具にしたのも素敵です。
ドローンという小道具に色気・表情を持たせることが出来た初めての例ではないでしょうか。
民衆からの支え
そして何より、このドローン自体が「民衆からの支え」として機能していることです。
ヨンナムとウィジュは決して2人の力やヘリの実働部隊の力だけで脱出したのではありません。
このドローンを飛ばしたのは彼らの親族、すなわち力なき一般市民達なのです。
外側で見ているだけの人にだって何かしら出来ることはあるのではないでしょうか。
それが本作においてはこのドローンを飛ばすという形で表現されています。
すなわち、一般市民でさえもヒーローになることが出来ることを表現したのです。
雨に流された毒ガスの正体
2人は何とか有毒ガスから逃れ、ラストでデートの約束をこぎ着けて終わります。
そして毒ガスも雨で綺麗さっぱり洗い流されますが、ガスの正体は何でしょうか?
男の逆恨み
まず1つ目に、この毒ガスは地元企業に逆恨みしていた男が流したものでした。
しかもその男が流した毒ガスは拡散も早く、仕掛けるタイミングも的確です。