田舎町のカルチャースクールで「魂を若返らせるには恋することが大事」といい、
小説を書くにはそれが必要だともいいます。

眼科医からアルコールとたばこを禁止された際、「セックスは」と聞きました。

彼は精神を病む妻も愛していたし、女子学生たちもそれなりに愛していました。

もちろんドクも本気で愛していたことはいうまでもありません。

いつも誰にも優しいハッキュは、ある意味女性には残酷です。でも彼はそのような男です。セックスも止められません。

彼の愛の形がこのドラマのような多くの悲劇を生むのですが、それを止めることは誰にもできないのです。

ドク

ドクの愛の形は一見歪んでいるようにも見えますが、本質は一途な愛に貫かれています。

田舎町に都会からやってきたスマートで少し影がありそうなハッキュは、田舎で燻ぼるドクには刺激的でした。

最初は火遊び的でしたが、多くがそうであるようにやがて官能に溺れていきます

「絶対に離れない」というドクはすさまじいほどの愛の官能の渦の中にいました。

ハッキュに捨てられ聾唖の母をも死なせてしまったドクでしたが、ハッキュへの思いを捨て去ることはできなかったのです。

復讐という形で人を愛する凄さを彼女は持っています。

追い詰められ自分しか頼るものがなくなっていくハッキュは次第にドクのものになっていきました。

ドクはそのような二人の関係に喜びを感じていたはずです。

二つのタリオ

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タリオはラテン語で「同害刑」の意味です。
被害者が受けた被害と同じ程度の被害を加害者に与える刑罰のことで、「目には目を、歯には歯を」の言葉で知られています。

この物語では二つのタリオが行われました。ドクのハッキュに対するタリオとドクの娘チョンのドクに対するタリオです。

タリオが連鎖したのです。女の怨念はすさまじいといえます。

ドクのタリオ

ドクのハッキュに対する復讐は周到で、徹底していました。

それにしてもハッキュとチョンは無防備だったといわざるを得ません。

近所に引っ越してきたおねえさんがここまで親切なのは不自然です。

ハッキュはドクの復讐に薄々気づいていたことが後でわかりますが、チョンの方は本気で母親代わりとしてドクを見ていたようでした。

実はドクの復讐は愛情の裏返しでした。ハッキュがドクに頼らざるを得なくなることにドクはハッキュとの一体感を感じていたのです。

かなり歪んだ愛情表現ですが、人を愛することはその人をまるごと所有したいという欲求でもあります。

ドクは無自覚にその喜びに浸っていたのではないでしょうか。

チョンのタリオ

復讐が復讐を呼ぶ復讐の連鎖は多くのドラマでとりあげられます。