それぞれの物語に出てくる女の子たちはどこか儚げであったり、気持ちがゆらいでいる描写が多く登場しました。
まだ大人になりきれないゆえ、成長の過程で自己が完全に定まっておらず少し危うい存在。
そういったイメージが「女の子」という言葉に表れているのではないでしょうか。
人類は生まれる前はみな女の子であった
15の物語の中でタイトルをより意識した作品は『離ればなれの花々へ』といえるでしょう。
実写の作品の中では最後にこの物語が並べられていることでそれぞれの物語に一貫性を持たせる意味合いがあると考えられます。
そこで、描かれていたのは人が生まれる前にいる秘密の花園。
男の子も女の子もみな、その花園から生まれてきたと考えるとタイトルの「女の子」は全人類に当てはまります。
この作品は21世紀を生きるすべての人々へ送るといったメッセージが込められているのではないでしょうか。
これから育っていく「女の子」という概念
女性の権利の歴史は残念ながらまだ浅く、その概念は発展途上であるのが現状です。
日本でも男女雇用機会均等法など法整備も進められてきましたが、女性の差別や偏見は完全になくなったわけではありません。
これからも時代に応じて変化していくという意味も込めて女性ではなく「女の子」と表現したのではないでしょうか。
キャストや監督も21世紀の「女の子」
『21世紀の女の子』は80年代後半~90年代前半生まれの女性映画・アニメーション監督が映像を手掛けています。
また、出演するキャストも公募。2000人を超える応募者からオーディションで選ばれた俳優・女優です。
彼女らもまた21世紀を生きる「女の子」といえないでしょうか?
ここではそんな製作陣や女優にとっての本作の位置づけについて考察していきます。
企画・プロデュースをした山戸結希
『21世紀の女の子』の全体の企画・プロデュースし、自らも『離ればなれの花々へ』を監督したのは山戸結希。
思春期における揺れ動く心情を描く作品を得意とし、デビュー作『あの娘が海辺で踊ってる』は自主製作ながら大きな話題を呼びました。
そんな彼女を一躍有名にしたのは2016年に監督した『溺れるナイフ』。
この作品においても少年・少女の揺れ動く心情や恋模様を鮮やかに、時にえぐるように描きました。
本作のコンセプトや空気感などに大きな影響を与えていると考えてよいでしょう。
大きな存在感を放つモトーラ世理奈
本作には唐田えりなや松井玲奈、山田杏奈など多数の実力派の女優たちがそれぞれの短編の主演を務めています。
そんな中で大きな存在感を放っていたのが『out of fashion』で主演を務めたモトーラ世里奈です。
彼女の名を世に知らしめたのがRADWIMPSの『人間開花』のCDジャケットでしょう。
そんな彼女が映画界でデビューした作品が2018年に公開された『少女邂逅』。