物語に込められた宮崎駿監督の真意

初めて実在した人物を主人公として描き、またストーリーが30年間という長期間にわたるなど「風立ちぬ」ではこれまでのジブリ映画にはなかった設定がみられます。

宮崎駿監督は物語にどういった真意を込めたのでしょうか。

堀越二郎に重ねた宮崎駿監督の父親の人生

300ピース ジグソーパズル 風立ちぬ 初めての飛行機(26x38cm)

 

堀越二郎の人生経験には宮崎駿監督の父親の人生経験が落とし込まれているといわれています。

宮崎駿監督の父親は関東大震災に遭遇しており零戦などを扱う製造会社の経営に携わっていたそうです。

また前妻を結核で失うという経験を味わなければなりませんでした。

父親の人生経験の一部を主人公に重ねているため作品に対する思いは一層強かったのではないでしょうか。

この世の矛盾を表現

宮崎駿監督は戦闘機や零戦が好きなことで知られていますが戦争に賛同しているわけではありません。

作品の中ではカプローニを通して飛行機は戦争の道具でも商売の手立てでもないと伝えています。

「風立ちぬ」の中で主人公は飛行機が好きで美しい飛行機を設計することだけを考えています。

しかし新型の飛行機について他の社員とディスカッションをしている最中に「機体を軽くするためには機関銃を載せなければいい」と真顔で説明します。

社員たちはジョークだと思い大笑いするのですが、堀越二郎の美しい飛行機が戦争のためには使われたくないという思いが汲み取れるのではないでしょうか。

しかし現実には美しい飛行機が戦争に使用されるという矛盾が描かれています。

また他にも「矛盾」に関する発言が出てきます。

二郎の「どうして日本はこうも貧乏なのか」との問いに、本庄が「貧乏な国が飛行機を持ちたがる。それで俺たちは飛行機を作れる。矛盾だ。」と答えています。

さらに同じく本庄は二郎に「本腰を据えて仕事をするために所帯を持つ。これも矛盾だ」と続けます。

宮崎駿監督はこの世にはびこる矛盾について問いかけたかったのかもしれません。

美しいという台詞

300ピース ジグソーパズル 風立ちぬ 夢の飛行機 (26x38cm)

美しい飛行機が作りたいという二郎ですが「風立ちぬ」の中には多くの場面で「美しい」という言葉が発せられます。

「美しい」という形容詞は二郎が食事中に見付けたサバの骨の曲線やドイツの宿泊先にあったセントラルヒーティングのシルエットに対しても使われています。

映画の中では二郎が夢中で設計した美しい飛行機は1機も戻ってくることがなく、美しいヒロイン菜穂子も帰らぬ人となってしまいます。

美しさへの憧れは現実的には決して平坦な道を歩くことではないという真意が読み取れるのではないでしょうか。

声優へのこだわり

声優の配役にはどのような思いが込められていたのでしょうか。「風立ちぬ」は人間の声だけでなく効果音にもとことんこだわり制作されました。

堀越二郎:庵野秀明

108ピース ジグソーパズル 風立ちぬ 堀越二郎 (18.2x25.7cm)

主人公である堀越二郎の声を演じる庵野秀明に関しては賛否両論さまざまな意見が飛び交わされ大きな話題となりました。

宮崎駿監督は堀越二郎の声のイメージとして当初は「滑舌がよく」「高い声で」「早く喋る人」と設定していたそうですが、実際にはほぼ真逆の声が堀越二郎に吹き込まれたことになります。

感情のない棒読みのような話し方や、いつでも落ち着いた速度のテンポは最初に宮崎駿監督がイメージしていた堀越二郎とはかけ離れていたのではないでしょうか。

しかし自分が作りたい飛行機に没頭する青年は「高い声で滑舌よく早く喋る人」よりも庵野秀明が持つ独特の話し口調の方が合っているのかもしれません。

堀越二郎が求める「美しい」飛行機や「美しい」菜穂子もこの声のおかげでその「美しさ」が引き立っているようにも思われます。

菜穂子:瀧本美織

ヒロイン菜穂子の声を演じる瀧本美織はジブリ作品の別映画「かぐや姫の物語」の声優オーデションに落ちていたそうです。

その後「風立ちぬ」のオーディションに挑戦した際に「かぐや姫の物語」の高畑勲監督が宮崎駿監督に瀧本美織を推薦したそうです。

重病を患いながらも二郎を愛するか弱くも強い精神を持った菜穂子を透明感のある声で表現しています。

カプローニ:野村萬斎

108ピース ジグソーパズル 風立ちぬ カプローニとの出会い (18.2x25.7cm)

 

二郎の夢の中に登場するカプローニは実在したイタリア人の航空技術者です。

夢の中でしか会えない存在でしたが、美しい飛行機を作りたいという二郎を励まし支えました。

そして映画は二郎がカプローニに誘いを受け彼の後をついていくシーンで終わります。

映画では野村萬斎がイタリア人男性も顔負けの深みのある重い声でカプローニを演じています。

宮崎駿監督は野村萬斎に「カプローニは二郎にとってのメフィストフィレスだ」と指導していたそうです。

メフィストフィレスはドイツの文学作品に登場する悪魔として知られていますが、堀越二郎にとってのキーパーソンとなる重要な役割を見事に演じています。

カストルプ:スティーブン・アルパート

ドイツ人のカストルプの声はスタジオジブリの海外事業部に所属していたスティーブン・アルパートが務めています。

スティーブン・アルパートは宮崎駿監督が海外へ出張する際にはアテンドとして必ず同行していたそうでカストルプのモデルとなっています。

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