宮田の目的は、病院の違法臓器移植を暴いて白日の下にさらすことでした。
一方、瞳の目的は復讐で、違法臓器移植や隠蔽工作など頭になかったのでしょう。瞳にとっては過去の事件です。
瞳は、自分の身を傷つけても、復讐を遂げるために女子大生に姿を変えて潜入します。凄まじい執念です。
宮田にとって、臓器移植対応リストが記載されたファイルは世間に公表する証拠です。
しかし、瞳にとっては、復讐する対象を確認することと、姉の臓器が誰に移植されたのかを確認するだけのものでした。
宮田は病院の内部構造にも詳しいので、格好の共犯者だったのです。
田所病院を狙った理由を読み解く
瞳が田所病院を狙った理由を探ってみました。
姉の命を奪った田所病院
瞳が田所病院を狙ったのは、大事な姉の命を奪った人間への復讐のためです。
姉は命は処置次第では助かっていたのかもしれません。
瀕死の状態で強引に臓器移植を実施したことが、直接の死因だったのではないでしょうか。
病院の歪んだ方針のために、姉の命は捨てても良いものとして扱われたのです。
潜入しやすい病院の外観
田所病院は、内部事情を隠すためか、外観からは病院とは思えないほど古く暗い雰囲気でした。
潜入するには格好の場所だったのです。当直のスタッフも少なく入院患者も活動的ではありません。
抜け出して復讐の準備をするのも簡単だったのでしょう。
宮田が祖母の事実を探るために潜入したとすると、彼にとっても理学療法士として病院に入るのは容易だったのでしょう。
小堺が当直に入った夜に、違法な臓器移植が行われることを知った瞳は、チャンスが必ず来ると踏んだのです。
瞳にとって誤算だったのは、当直医が小堺ではなく速水だったことだけでしょう。
仮面病棟の意味
映画のタイトルの意味を考えてみました。田所病院やピエロに関係がありそうです。
最先端技術を隠蔽する廃病院のような外観
田所病院の外観はまるで廃病院でした。
病院らしい敷地内の雰囲気はなく、窓からまったく明かりが見えないのも違和感があります。
見られると秘密がわかってしまう危険なところは隠しながら、内部には最新医療設備がそろっています。
仮面の意味は、廃病院のような外観や、寝たきり老人の介護医療専門と思わせる病室でしょう。
仮面に隠された正体は、違法行為と悪意にまみれた臓器移植の現場でした。
ピエロはカモフラージュ
ピエロの目的がわかったのは、院長室やカルテを物色するところです。拳銃を振り回す姿はカモフラージュでした。