この時点で、状況からダルトンはナタリーが怪しいことに検討をつけていたことが伺えます。
作中の男達があっさりとナタリーに騙されることとは対照的に、女であるダルトンは冷静に物事を見定めていました。
ヴァイオレット
ルイの祖母で、ピーターの母親であるヴァイオレットもナタリーの本性に気付いていた人間です。
病院を訪れたパスカルに、ヴァイオレットはナタリーが虚言癖の持主だと語りました。
また、世間がピーターを疑うのに対してナタリーはピーターがルイを愛していた故に離婚しなかったことを語ります。
ヴァイオレットの方が、状況について理路整然と話をしているのです。
この姿もまた、男達とは対照的な姿。対比となっていました。
ナタリーがルイを「天使」と呼んだ意味
ルイを「天使」と呼ぶナタリー。その意味は何だったのでしょうか。
便利な道具としての存在
世間から同情を引きたいナタリー。そのためには、ルイが死なずにいてくれることが必要でした。
ルイも、幼い頃からこのような目に遭ったため性格が捻じれてルイに殺されかけることを受け入れています。
それが、ルイにとって母親が自分を必要とする愛情でした。
自分のやっていることを受け入れ、何度でも自分の同情を引く道具として活躍してくれるルイ。
その姿は、ナタリーにとってはまさに天使というべき存在です。
そのため、ナタリーはルイを「天使」と呼ぶのです。
息子としての存在
とはいえ、ナタリーがルイを息子と思っていなかったかといえばそうではありません。
確かに二人の親子関係はいびつなものです。ですが、この親子にとってはそれが「親子の形」だったのです。
ルイにとって母の愛情とは、自分を必要として殺しに来ること。
ナタリーにとって愛情とは、ルイがそのような自分の行為を受け入れてくれること。
自分の思いを受け止めてくれるルイは、ナタリーにとっては紛れもなく大切な息子だったのです。
例え普通ではなくても。
ルイが目を覚ました理由
映画のラストで目を覚ましたルイ。その理由は何だったのでしょうか。
本当の愛を知ったから
ルイが目を覚ましたのは、ピーターの声を聴く中で本当の愛を知ったからです。
ルイが感じてきた愛情は、ナタリーによる歪んだものでした。しかし、ピーターは違いました。
血の繋がってないルイを心から愛し、家を出る時は涙まで流しています。