恐らく誰にも知られないまま仲良くしていたいというのが、ラルゴの願いだと考えられます。
彼女のゼラオラへの意思の強さは、彼女がとった行動からも窺えます。
ゼラオラを守るために聖火を盗む行動は、街に甚大な被害を及ぼす行為でした。
子どもなので街への被害を考えられなかったのかもしれませんが、それでもラルゴを突き動かすほど思いが強かったのです。
サトシの物語
本作においてサトシは非常に特殊な存在として描かれています。それはどういったものでしょうか。
主人公であって主人公でない
本作のサトシは狂言回し的な役割が与えられています。
そうなったのは、サトシ自身に他のキャラクターのような向き合う問題が存在していないからでした。
これはアニメ初期の未熟で感情的になりやすかったサトシからすると、とても大きな変化です。
本作ではサトシが誰かに慰められたり励まされたりする場面はなく、逆にサトシが周囲を鼓舞していました。
それによりカガチたちの心境に変化が生まれ、各々が自分の問題に向き合っていきます。
映画の新しいあり方への挑戦
こうしたサトシの描かれ方はポケモン映画の新しい挑戦でした。
サトシの冒険譚であるポケットモンスターは当たり前ですがサトシの物語です。
しかしポケモンの歴史も長くなり、サトシを中心に据えた物語の展開を見直される時期が来たのでしょう。
サトシではなく他のキャラクターへ観客が感情移入して観られる映画こそが本作です。
一方で作品の盛り上がる部分を締めるのはやはりサトシの役目でした。
問題を抱えた人物たちの中で、どこまでも真っ直ぐな姿勢で突き進めるのはサトシにしかできない役割です。
これこそ20年以上に渡って主人公を務めてきた貫禄といえますね。
劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕
風祭りが行われるフウラシティに現れるのがルギアです。
ルギアは1999年公開の「劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕」でスクリーンに登場しました。
「みんなの物語」と直接的な繋がりのない映画ですが、ルギアというポケモンをより深く知ることができる作品です。
アクションシーンが多く、特に子どもの視点からすれば飽きのこない作品となっていました。
本作の後にもう一度「みんなの物語」を鑑賞すると、ルギアに対してまた違った感情を抱けるのではないでしょうか。