この「Black Buck」はアメリカのスラングで黒人男性を意味しています。
壁に飾られた鹿
地下の壁にかけられていた鹿は捕まり中身を抜き取られ、剥製になったものです。
つかまった黒人たちの行く末を暗示しているのです。
更に鹿(deer)には彼女に逃げられた男性という意味も含まれています。
剥製の鹿でディーンを倒したのは、捕まった黒人たちの怒りを表現しているのかもしれません。
いつから催眠術は始まっていたのか
作中で明らかな催眠術が始まったのは、母ミッシーが禁煙治療と称して術をかけた夜でした。
しかし実際はずっと前から催眠への誘導は始まっていたのです。
鹿をはねたシーンから
クリスは母親がひき逃げにあったトラウマを抱えています。
鹿を轢いたことで、彼の心に眠っていた母へのトラウマが目を覚ましました。
もしかしたらアーミテージ家の陰謀が動き出していたのかもしれません。
鹿はすなわち、母の死を連想させるものなのです。
そう考えると、地下室に父親の嫌いな鹿の剥製を置いていたことにも納得がいきます。
ティースプーンの音がスイッチ
ミッシーがクリスに催眠術をかけた時、使用したのがティーカップとティースプーンです。
かき混ぜる際の「音」が、催眠のスイッチになりました。ミッシーは母親の死と「音」を上手くリンクさせたのです。
更に、ミッシーが催眠をかけた際に、クリスがテレビを観ているような視点を映し出しています。
これは幼い頃に、テレビで報道された母親の死を、じっと見つめるクリスに繋がっていきます。
この構図もまた催眠へのスイッチとなるのです。
地下室にテレビがあったのもこの為ではないでしょうか。
社会の闇を色濃く残したホラー映画
「ゲット・アウト」の裏には、緻密に計算されたアーミテージ家の正体を暗示する伏線がいたるところに隠されていました。
催眠術の仕込み方など、計算し抜かれたストーリー構成でした。
本作品は2回目、3回目と観ることで、登場人物の細かな心理を読み解くこと出来ます。