ラプラスの悪魔の能力を社会のために使っている人物です。
「ラプラスの悪魔」のような能力を持ってはいるものの、悪用するのではなく社会のために使っている点がこの物語の面白いところでしょう。
そしてもう1人の主人公である地球科学専門の大学教授であり青江修介を櫻井翔さんが演じています。
温泉街で起きた不可解な事件を調査する青江修介ですが、次第に自らも事件に巻き込まれていってしまうこの作品のキーマン的人物。
ラプラスの魔女の能力を持つ羽原円華は、事件の現場に姿を現しては何かを調べているため、青江修介の目にも謎の人物として映ります。
しかし物語が進んで行くにつれ、羽原円華は青江修介に助けを求めるようになります。
そして実は、彼女がある事件に関わった友人を探すために度々事件現場に姿を現していたことがわかります。
特殊な能力を持つラプラスの魔女として、複雑に絡み合う事件に青江修介を巻き込んでいく難しい役どころ。
ミステリアスで謎多き少女の役を見事に演じ切っているのも女優広瀬すずの魅力ではないでしょうか。
作品内で起きた事件とそのトリックとは?
作品内で起こった2つの不可解な事件
この作品の鍵を握るのは2つの不可解な事件です。
いずれの事件も連続して起きた2つの不審死。これら現場は遠く離れていましたが、いずれも硫化水素による中毒死でした。
ガスの中毒死というと密室の環境で行われるのが通常ですが、2つの事件では自然環境下で起きました。
美しい自然環境下でガス中毒に陥れることは極めて困難で、どのように犯行を行なったのか捜査は難航したのです。
2人の犠牲者の不審死には関連性があり、明らかに殺人事件であるかのような証拠が出る一方で、殺人方法がなかなかわかりません。
自然環境下でガスの中毒死を引き起こすことなどは、人間が実行することは不可能な領域なのです。
ピンポイントに硫化水素が発生する場所に被害者を誘導することはあまりにも殺人に失敗してしまうリスクが高すぎるので、事故であると大学教授の青江は分析しました。
事件のトリックとは?
人間には不可能な殺人方法。その視点に捉われ、事故死と結論付けた青江。
しかしこの事件のトリックは意外にもとてもシンプルなものでした。
人間の能力で意図的に硫化水素を発生させることができないのなら、人間を超越した能力であれば殺害が可能であるという発想です。
実際に青江の前でラプラスの魔女である円華はドライアイスのスモークを使って完全に犯罪を再現してみせます。
つまりラプラスの悪魔が他に実在するのであれば殺害が可能であると証明したのです。
それをラプラスの魔女である羽原円華自らが青木修介に教えたことになります。
しかしそうだとすると、次の疑問が湧いてきます。
ラプラスの悪魔はどのようにして誕生したのか、そしてなぜその2人を殺害しようと思ったのかーー。
さらには円華がなぜそのような能力をもっているのかーー。
謎が謎を呼び、複雑に絡み合う人間関係と巧妙で見事なまでのトリックにまるで主人公のようにハラハラすることができます。
このあたりの練られたであろう巧妙さは東野圭吾ならではの面白さといえるでしょう。
ラプラスの悪魔はどうやって生まれたのか?
もう1人のラプラスの悪魔
ネタバレを含みますが、ここではラブラスの悪魔の誕生についてフォーカスしてみます。
青江に自らの能力を見せつけた円華。そんな能力を持つ人間が存在していること自体が謎に包まれています。
実はこれには驚くべき事実がありました。
円華が未来を予測する能力を持っていることが判明しましたが、作品にはもう1人の能力者が登場します。
それは最初の事件で被害にあった生き残りの青年・甘粕謙人です。
作品中では福士蒼汰が演じており、「ラプラスの悪魔」として人の感情を持たない無表情の青年という役どころです。
最初の一家硫化水素中毒死事件によって命を奪われそうになった彼。母親と妹を失った彼は唯一の生存者でした。
発見された時には脳死により昏睡状態に陥っていましたが、ある人物の手によって意識を取り戻します。
その人物とは、円華の父親で天才脳外科医である羽原全太朗。作品ではリリー・フランキーが熱演しています。