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『ゼロ・ダーク・サーティ』は2011年5月2日に実行されたアルカイダの指導者オサマ・ビンラディン暗殺の舞台裏を描いたフィクション映画です。
世界中の人々が知りたかったビンラディン暗殺の真実を映画という形で真正面から取り上げた本作は、批評家から絶賛され、社会現象を巻き起こしました。
監督はアカデミー賞6部門を受賞した傑作「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグロー。
本作『ゼロ・ダーク・サーティ』でもアカデミー音響編集賞を受賞しています。
本記事では結末に主人公マヤが流した涙の意味や、ビンラディン暗殺がもたらしたものなどに迫ってみたいと思います。
本作『ゼロ・ダーク・サーティ』について
批評家に大絶賛された本作は、NY映画批評家団体から2012年に上映された映画のベスト1に選出されています。
非常に評価が高い本作の受賞歴やタイトルの意味について見てみましょう。
アカデミー賞をはじめとする多数の賞を受賞!
ですが、アカデミー賞では主要部門の作品賞・主演女優賞・脚本賞をはじめとした5部門にノミネートされ、アカデミー音響編集賞を受賞しました。
主演のジェシカ・チャステインはアカデミー賞主演女優賞こそ逃しましたが、アカデミー賞の前哨戦に位置づけられるゴールデングローブ賞では主演女優賞を見事獲得しています。
なお、本作は各賞で120以上の賞にノミネートされ、60以上の賞を受賞するという快挙を成し遂げています。
この受賞歴から本作の評価がいかに傑出しているのかがうかがえます。
タイトルの意味は
この映画のタイトル名『ゼロ・ダーク・サーティ』(原題:Zero Dark Thirty)は、米軍の専門用語で『午前0時30分』のことを指しています。
この時刻はビンラディンのアジトにネイビーシールズが突入した時刻です。
タイトル名には他にも『深夜』という意味があり、闇に包まれたビンラディン暗殺に向けた10年のミッションそのものを指し示しているとのことです。
物議を醸す作品
本作は批評家を中心とする各方面の評価が非常に高い一方で、アカデミー賞の受賞は1部門のみと予想外に振るいませんでした。
そこには本作で物議を醸した拷問の存在などが影響しています。
実話を基に作られたフィクション映画の本作ですが、何かと物議を醸しました。
本作で問題となった事柄を取り上げて見てみましょう。
米大統領選のプロパガンダ映画扱いを受けた
当初本作の公開予定日が大統領選の1カ月前にあたる10月だったこともあり、バラク・オバマ大統領の再選を支援するプロパガンダ映画ではないかとの誤解を受けました。
ビンラディン暗殺作戦はオバマ大統領在任中の一大トピックで、オバマ政権の功績でもあったためです。
配給会社のソニーは公開予定日に政治的な意図があることを否定した上で、本作の公開日を12月以降へ延期しました。
同時多発テロ事件の音声を使用したことに親族から抗議
本作冒頭では、アメリカ同時多発テロ事件の犠牲者が、ワールドトレードセンター突入前の飛行機内で最期に交わしていた電話の音声が使用されていました。
この犠牲者の音声が無許可で使用されているという抗議が、遺族からありました。
配給会社のソニーは、声明で音声の使用に関して遺族に接触したと発表しましたが、双方の話は噛み合いませんでした。
拷問シーンに関して米上院議員から厳しい批判
ジョン・マケイン米上院議員をはじめとする複数の上院議員が、拷問シーンに問題があると指摘しました。