この「赤」で学校のなかに幽霊がいることを暗示しているのです。
監督は「赤」という色を通して、映画全体に巧みに伏線を張りつつ「死者」を表現しています。
コールが書いた落書き
リンが見つけたコールの落書きは赤い文字で書かれていました。
静かにしろ
お前たちを殺す
引用:シックスセンス/配給会社:ブエナ・ビスタ・ピクチャーズ 東宝東和
ぞっとする内容ですが、この「赤」も死者を意味しています。
コール自身の言葉ではなく、死者の言葉を聴いて書き留めたことの伏線でもあります。
赤が濃いほど死者の感情が高ぶっている
劇中には様々な「赤」が登場していますが、それぞれトーンが違っています。
シーンごとに注意して観ると、影響を与えている死者の感情によってトーンが変わるようです。
たとえばマルコムがアンナに嫉妬の心を抱くシーン……。
プレゼントの包装紙が燃えるような赤で、マルコムの怒りをあらわしています。
更にキラの母親の真紅の服など、キラの母親に対する思念と執着が激しいということでしょう。
「寒い」のは伏線に繋がる
劇中には「赤」以外にも死者を示す演出がされています。
死者が近くにいると寒い
アンナが一人ベットに横になるシーンで、赤いブランケットをかけていました。
更にマルコムが横に座ると寒そうに羽織り直しています。
この行動はマルコムという死者の気配で気温が下がったことを意味しています。
コールの息に注目
死者が近くにいる時、コールの吐く息は白くなっています。
これもまた死者の存在によって気温が下がったことを意味するものです。
幽霊がいるときの兆候をコールは後に語っています。
霊が怒ると寒くなる
引用:シックスセンス/配給会社:ブエナ・ビスタ・ピクチャーズ 東宝東和
劇中の寒さは全て死者への伏線です。
怒ったときだけでなく悲しみや衝撃で幽霊の感情が乱れたときにも気温が下がるようです。
寒さにも死者の感情が反映されていた
本作は「赤」のトーンだけでなく、寒さの度合いによっても死者の感情を表しています。
生きている登場人物が寒いと感じる程、死者の感情が揺れ動いていることになるのです。
吐く息や、寒がっているか否かなどに注意して観返すと、死者の感情がより深く理解出来るのではないでしょうか。
伏線だらけの泣ける傑作
『シックスセンス』はホラー映画に分類されますが、深く考察していくと心に響くヒューマンドラマです。
感情を色で表現するなど、監督は繊細に映画を作り込んでいます。
本作は観るたびに、面白いと感じるところがちがう多面的な映画といえるのではないでしょうか。