トラヴィスの心情そのものの歌詞
使われた箇所は、以下の通りですが、まるでトラヴィス自身の心情が綴られたように響いてきます。
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Awake again,I can’t pretend
I know I’m alone
And close to the end
Of the feeling we’ve known==
再び目醒めても自分は偽れない
俺は孤独なのだということを思い知る
そして俺たちが共有していた想いは終わっていく
出典:レイト・フォー・ザ・スカイ/作詞:ジャクソン・ブラウン 作曲:ジャクソン・ブラウン
仮にスコセッシやデ・ニーロが撮影前にこの曲を聴きインスパイアされて採用した、と言われても納得の選曲ですね。
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How long have I been sleeping?
How long have I been drifting alone through the night
How long have I been running for that morning flight
Through the whispered promises and the changing light
Of the bed where we both lie
Late for the sky==
どれくらい眠っただろう?
どれくらい夜中じゅう1人で彷徨っただろう
どれくらい朝の空に向かって走り続けただろう
囁かれた約束と共に過ごしたベッドの灯りの瞬きを通しても
旅立ちに間に合うことのないまま
出典:レイト・フォー・ザ・スカイ/作詞:ジャクソン・ブラウン 作曲:ジャクソン・ブラウン
歌詞の中では、曲の主人公には友人や恋人がかつて居たような描写がありますが、トラヴィスはそれに頼ることすら叶わなかったのです。
トラヴィスの視点から見えてくるものとは?
トラヴィスの常軌を逸した言動
本作は、反体制的な主人公=トラヴィスの視点をメインに描写されています。
「現実は、何もかも望みが叶うわけではない」という最大の不条理。
それを受け入れられずに、矛盾と混乱に溢れた主人公の言動を通して、彼の中で狂気が生まれていく様を浮き彫りにしています。
自分が間違っていると絶対に考えない「歪み」
トラヴィスの行動がエスカレートしていくにつれて彼の心情の中で彼の狂気が強烈に浸み出してくる様子が凄まじく描かれています。
パランタインの事務所のベッツィーを、好みだというだけでナンパしデートに連れ出すことに成功します。
しかし!よりによってポルノ映画を観せようとして強力に拒まれたことを自覚できずに、職場に電話をかけたり、大量の花を贈ったり…
誇大妄想のスイッチが切れなくなったストーカーとしか言えない所業の数々。
後半にもわざわざ仕事中にすれ違ったアイリスに会いに行き、娼婦の仕事を辞めさせようとするなど謎の正義感を強要したり…
無軌道な言動の数々で、逆に目が離せなくなっていきます。