ベトナム戦争終結が本作へ与えた影響とは?
戦争が人生に及ぼす影響の提示
本作が劇場で公開されたのは1976年2月。
本作が制作されていた前年の1975年4月、アメリカがベトナムに負け、1955年から20年続いたベトナム戦争が終結しました。
街は日常生活に戻るための充分な気持ちのケアも出来ないままの、沢山の帰還兵で溢れはじめました。
兵役の後遺症で「12時間働いても眠れない」ことは帰還兵にはありふれたエピソードです。
「どこにいても俺には寂しさがつきまとう。逃げ場はない。漠然とした毎日が長い鎖のように続く」というトラヴィスの独白。
そこには実に生々しく帰還兵の閉塞した日常が捉えられていました。
今後も古びることがない戦争が人の人生に及ぼすネガティヴな余波が、この独白の中に真空パックされているように感じられます。