しかしミアと違っているのは、今でも過去と同じ次元の延長に生きている点です。
男と女の恋愛の違いにも例えられますが、彼にとってミアとの恋愛は過去であり現在でもあります。
自分の店の名をChicken On A Stickではなく、ミアが考えたSEB’Sという名前にしたのも彼の気持ちを象徴しているようです。
ラストシーンのセバスチャンが物語る
ラストシーンでセバスチャンは、幸せそうなミアを切ない顔で見送ります。
彼の切ない顔が物語をハッピーエンドにするかバットエンドにするか悩ませる要因のひとつになっているようです。
ミアと一緒になりたかった
劇中でセバスチャンは、ミアを想い安定したお金を得るために不本意な仕事を選択しています。
自分の夢を捨てても彼女と一緒にいたいと思った時期があったということです。
そして関係性を保留にした後も、おそらく彼はいつかミアと再び結ばれたいという気持ちが残っていたのではないでしょうか。
ミアが結婚をした後も、彼のその気持ちは続いていたのかもしれません。
彼のもう一つの夢が消えた瞬間
セバスチャンがミアを見送ったシーンは、彼のもうひとつの夢であるミアと結ばれることが消えた瞬間とも取れます。
あるいは、ミアの幸せな姿を見て彼女への気持ちに終止符を打った瞬間だったのかもしれません。
お互いの夢を叶えた喜びと手放した愛への複雑な気持ちが、切なさとして上手く表現されていました。
ラストの空想シーンの捉え方
セバスチャンの演奏からはじまる空想シーンについても幾つか意見が分かれています。
ミアの空想だという意見
セバスチャンの曲を聴きながら、ミアがもしも結婚の相手が彼だったらと空想している、という捉え方です。
ミアがハリウッド女優という現実のままの空想なので、彼女がかつていたセバスチャンとの世界の延長上の話のように感じます。
今ミアがデイビッドや子供と共に生きている世界は過去のものとは違っているのです。
セバスチャンの空想だという意見
セバスチャンはミアと一緒になりたいという想いを持っていました。
もしも自分がデイビッドのように、ミアの側で彼女を支える存在になっていたら……。
そんな彼の空想だったのではないでしょうか。
セバスチャンにとって、どちらの選択が正しかったのかおそらく本人でも答えはわからないはずです。
ミアとの再会で彼女への想いを再確認したようにも感じるシーンです。
ハッピーエンドといえるのか
この物語は夢見る若者が成功を掴むまでの物語として観れば、ハッピーエンドと言えるでしょう。